歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年05月28日(水) 持っているだけでは意味が無い資格

世の中にはいろんな資格があります。資格を取るためには、一定期間特定の教育機関に通い、試験を受けて合格しないと得られない資格から、特定の研修を受講するだけで取得できる資格まで様々です。
社会が混沌としている中、資格を持っていることが優位であるという風潮があります。確かに何らかの職に就いたり、ポストを得る際、特定の資格を持っていることが絶対条件であったり、優先されたりすることはあることでしょう。
けれども、どの資格にも必ず言えることがあります。それは、資格を持っていることがその専門のエキスパートとは言えないということです。

歯医者などはその典型と言えるでしょう。仮に、今年某歯科大学を卒業し、歯科医師国家試験に受かり、歯科医師免許を授与された新人歯科医師と歯科医師になって今年で17年目の僕を比較してみましょう。歯科医師という資格を持っているという面では新人歯科医師も僕も全く同じです。けれども、まだ右も左もわからない、ほとんど臨床経験のない新人歯科医師と多少なりとも四苦八苦しながら今に至った僕とは、決して同じ歯科医師とは言えません。おそらく、誰から見ても僕の方が新人歯科医師よりも歯科のエキスパートとして見えることでしょう。資格があるからといって、専門のエキスパートと言えない例の一つです。
歯科医師になって17年目の僕ですが、今でも自分の至らない点が多々あります。むしろ、多くなってきたと言っても過言ではありません。たかが歯科の世界かもしれませんが、奥が深いことを痛感する今日この頃です。
おそらく、どの専門の専門家も、名前の通るようになった専門家でさえ、一日一日が勝負なのではないかと思うのです。今まで培ってきたことを糧に日々、挑戦し続ける。それがその道のプロといえるのではないでしょうか。
そんなプロも必ずスタート地点があります。それが資格を取得した時です。資格を持っている瞬間からその道が始まるのです。

一応、歯医者としての資格を持っている僕の独断と偏見では、どんな資格も資格を持っているだけでは意味がないように思います。資格をもって仕事に従事し続けることによって初めて資格が意味をもってくるはず。世の中の資格優位風潮には一理あるかもしれませんが、資格だけが一人歩きし、資格の本当の意味が理解されていない点に危うさを感じる、今日この頃です。


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