歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年05月14日(水) 大きくなったら何になる?

昨日の朝のことでした。

「今日ね、学校で○○○へ遠足に行くの。楽しみだなあ。」

いつも僕は寝室で嫁さんと二人のチビと一緒に川の字で寝ているのですが、一緒に寝ていた上のチビに僕は上のチビにいきなり起こされました。
時計の針は5時半をまわったところ。いつもの僕の起床時間より1時間以上前に上のチビに起こされ、僕は少々困惑しましたが、それでも上のチビの遠足が待ち遠しい態度に思わず眠たい目をこすりながら微笑んでしまいました。

○○○とは、遊んで学べる子供のための博物館と銘打って場所です。楽しく遊びながらいろんな体験ができる施設で、この施設の中に仕事の擬似体験ができるコーナーが数多くあるようなのです。工場や交番、美容室や郵便局、医者の擬似体験ができるコーナーがあるようで、上のチビは前日からドキドキワクワクでなかなか寝つけなかったぐらいだったのです。

こうした仕事を疑似体験できる施設は、非常に有意義なことだと思います。社会にはいろいろな仕事があることを肌で感じる機会はそうあるものではありません。多種多様な仕事を見るだけでなく、一部を体験してみることは、仕事に対する理解が深まりますし、招来自分がどのような職業を選択するか、判断材料にもなりうるからです。子供の世代は今は漠然としてはっきりとしてイメージを持てと言っても難しいものですが、子供の時代に体験したことはずっと記憶に残るもの。自分がどの職業を選択するか悩んでいる若い世代の人たちは少なくない中、幼い頃の仕事の疑似体験は、自分の将来を選択する意味でも非常に有意義なことだと思うのです。

ところで、僕の場合ですが、将来自分がどんな仕事に就くか想像したことはあまり記憶にありませんでした。ただ言えたことは、幼少の頃から僕の家の隣に親父の歯科医院があり、親父が白衣姿で自宅と診療所を行き来していた姿があったことです。家にいていると隣から“キィーン”という、患者さんなら誰もが抵抗感がある歯を削るタービンの音がしょっちゅう聴こえていましたし、つばを吸い取るバキュームの吸引音も聞こえていました。時には子供が泣き叫んでいる声も聴こえていたものですが、僕の生活は自宅にいる限り歯科医院とは切っても切れない環境にありました。歯科医院の雑踏とともに大人になってきたとも言えるでしょう。僕自身、意識をしませんでしたが、いつの間にか歯医者になるという意識が形成されていたのかもしれません。家の隣が歯科医院という環境がいつの間にか僕を歯医者の道へ導いていた、洗脳されていたのかもしれません。

さて、遠足に行った上のチビですが、時間が限られていたせいかごくわずかの仕事体験しかできなかったようです。それが不満で、僕に再度○○○へ連れて行くようせがんでいます。
世の中にはいろいろな仕事があり、働いている人がいる。社会は数多くの人たちが協力し合って動いている。単純な事実ですが、上のチビにとっては擬似体験することでより鮮明に社会の仕組みが想像できたようです。

僕は最後に尋ねてみました。
「大きくなったら何になりたい?」

上のチビはしばらく考えていましたが、出した結論は

「僕はやっぱり歯医者かな。」


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