歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年05月12日(月) 歯科衛生士紹介番組を見て

先週末、何気なくテレビを見ているとこの番組が放送されていました。以前にここでも取り上げたこの番組。今回のテーマは歯科衛生士。香川県の某歯科医院に勤める3年目の歯科衛生士の仕事ぶりが紹介されていました。
以前この番組では歯科技工士について取り上げ、僕もこのことについて日記に書いていました。

ここでも歯科衛生士の仕事の内容が取り上げられていますが、歯科衛生士とは看護師とは異なります。まず、歯科衛生士に関しては歯科衛生士法という法律があり、この法律によって仕事の内容が規定されているのです。歯科衛生士法によれば、歯科衛生士の仕事は

『厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう。』

1.歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること。
2.歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること。
2 歯科衛生士は、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、歯科診療の補助をなすことを業とすることができる。
3 歯科衛生士は、前2項に規定する業務のほか、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができる。

わかりやすく書けば、歯科衛生士の仕事は
1.歯科医師の診療を手助けすること
2.歯科医師の指導の下、口の中の歯の病気の予防処置(歯磨指導、歯石除去等)を行うこと
3.歯科に関する健康を維持するための啓発活動、保健指導を行うこと
といったところです。

診療所や病院における看護師の仕事とよく似ているのですが、歯科衛生士は更に歯科の診療に特化した役割が与えられていると言えるでしょう。歯医者が治療を中心に行うのに対し、歯科衛生士は、診療の補助のみならず、歯の病気に罹らないように予防処置を行ったり、一般市民を対象に歯の健康の大切さを啓蒙するために保健指導を行っていく仕事でもあるのです。最近では、高齢者、特に寝たきり高齢者や介護を必要としている人に対し、よりよき生活を過ごしてもらうために口の中の衛生管理を積極的に行う口腔ケアの担い手としての仕事が注目され、医療現場で活躍しだしている歯科衛生士も数多く存在します。

歯科医院というと、誰でも最初に思いつくのは歯医者のことだと思いますが、歯医者だけで歯科医院の仕事を全て行うのは不可能です。患者さんに対してサポートしてくれる、別な視点を持って接してくれるスタッフの力が欠かせません。専門的な教育を受け、専門知識と技術をもった歯科衛生士は必要不可欠な存在であるのです。
これまで歯科衛生士は2年間の専門教育を受けた後、国家試験を受けて合格した者が資格を得ていましたが、平成23年度からは3年間の専門教育を受けなければならないようになりました。これは歯科衛生士として仕事がこれまで以上に多種多様になってきたことを意味します。歯科衛生士の仕事が重要視されてきた証拠の一つと言えるでしょう。

このような歯科衛生士ですが、僕は歯科衛生士に関することを定めて法律歯科衛生士法について、一つ不満があります。それは、法律の文言に

『厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう』
という規定があるからです。
実際のところ、男性の歯科衛生士も数は非常に少ないながら活躍しています。決して女性だけの仕事ではありませんし、法律の規定どおりとはなっておりません。一種の解釈で男性にも門戸が開放されている仕事ではあるのですが、他の医療スタッフのことを定めた法律に比べて不備であることを感じざるをえません。この文言の訂正を求めたいものです。


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