今回のゴールデンウィーク中のある日のことでした。お袋の弟である叔父が我が家を訪ねてきました。結構頻繁に会っている叔父ではあるのですが、この日、叔父はあるものを携えてやってきました。 「これを渡そうと思ったんだ。」
叔父が手に持っていたのは桐製の小型箱でした。叔父曰く
「中身を見たら、姉ちゃんのへその緒だったよ。」
叔父によれば、自宅の母親の部屋を整理していたところ、ある場所からこの箱が見つかったというのです。当初何が入っているかわからなかった叔父だったそうですが、中身を確認してみるとどうもへその緒だったとか。箱に書かれていた、消えかけて字を注意深く見てみると、そのへその緒はお袋のものであることがわかり、急遽我が家へ持ってきたというのです。
現在、お袋の母親は、僕からすれば母親方の祖母ですが、某病院に長期入院中です。乳癌の手術の後、予後が悪く寝たきりになっていた祖母。今では認知症が進み、現在では会話もできないような状態です。きれい好きだった祖母でしたが、自分で整理することができなくなり、叔父や叔母が代わりに部屋を片付けるようになっていました。そんな片づけをしている最中、偶然見つけた小箱がお袋のへその緒だったのです。
自らのへその緒を見て、お袋は思わず涙ぐんでいました。無理もありません。祖母が寝たきりなって毎日のように病院に祖母の世話のために病院に通っているお袋です。そんな祖母とかつて自分をつないでいた命の絆であったへその緒。いくら古びたものになったへその緒でもお袋にとっては祖母とのつながりを感じさせる大切な、大切なモノなのですから。いとおしくなり、思わず目頭が熱くなったのは自然なことだと感じました。側でみていた僕も思わず感じてしまいました。
ちなみに、お袋は子供である僕と弟のへその緒は今でも大切に保管しているそうです。また、僕の子供である二人のチビのへその緒は嫁さんが大切に持っています。いくら子供が独立したといっても親にとって子供はいつまで経っても子供なのでしょう。 お袋が自らのへその緒と対面した姿を見て、改めて切っても切れぬ親と子の絆を感じざるをえなかった、ゴールデンウィーク中の歯医者そうさんでした。
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