| 2008年04月25日(金) |
放置するほど医療費がかかる理由 |
最近、治療を受けたくても経済的な理由から治療を受けず、我慢している人が数多く存在します。日本は国民皆保険制度ではあるのですが、保険料を支払うことができず保険証が発行されない。保険証が無いと、医療費を全額支払わないといけないが支払うことができない。保険料が払えないくらいですから医療費の全額負担は不可能です。そのため、必要な医療を受けたくても受けられないケースが後を絶たないのです。 これは大きな社会問題です。なぜなら、現在の医療費負担は症状を放置すればするほど医療費がかかるからです。一時的に症状を我慢していて医療機関にかからず、放置していると、一見すれば医療費を節約しているように見えますが、こうした場合、必ず病状は進行し、我慢できないほど悪化する場合が多いのです。そうなると、医療費がかさばってくるものなのです。
歯科においてもこのことは同じです。たかが一本のむし歯だと思って放置すればするほど治療費がかかるようになっているのです。今日の日記では、この治療費に関するシミュレーションを行ってみます。 ちなみに、今回の治療費は保険診療の点数を下に算定しています。保険点数は1点につき10円です。点数×10が実際にかかる治療費であることをご理解下さい。 また、初診料、再診料といった基本診察料は含まれていません。薬代も含まれていませんし、他の疾患の治療が重なっている場合の治療費も含まれていません。様々な経費を含めれば、更にアップすることを含んで欲しいと思います。 実際に窓口で支払う金額は、大半の方が3割負担ですから、上記の額の3割を支払えばいいことになります。 実際の治療は様々な状況、診断、診療パターンといったものが存在します。以下にあげることはあくまでも一例のシミュレーションとして見て頂ければと思います。
前歯の一本がむし歯になったとしましょう。小さなむし歯であれば 120点+100点+11点=231点 合計2310円 大きなむし歯であれば 120点+148点+28点=296点 合計2960円
かかります。
前歯のむし歯が深くて歯髄(神経のことです)を処置しなければいけない場合 神経の処置には 220点+30点+68点+118点=436点 4360円 むし歯によって開いた穴が小さければ更に 80点+148点+28点=256点 2560円必要です。 合計6920円
むし歯によって開いた穴が大きい場合、歯に被せ歯をしないといけません。そのためには、歯が折れないように金属性の心棒を入れてから被せ歯をセットします。 心棒代として 20点+179点=199点 1990円 被せ歯をセットするまでに 630点+30点+60点+14点+1394点+45点+16点+100点=2289点 22890円
神経の処置からの合計金額は、 合計29240円となります。
前歯のむし歯が根っこまで進み、やむを得ず抜歯しないといけない場合、 抜歯には 150点 1500円
抜歯した場所をカバーするために両隣の歯を削りブリッジにする場合、 790点×2+275点+70点+50点+100点+100点+4点×2 +1394点×2+1345点+150点+300点+16点×2=6798点 67980円 ブリッジセットするまでに必要な治療費は、抜歯費用も加えて 合計69480円
といったように歯が悪くなればなるほど治療費がかかるようになってきます。治療を途中で中断したり、悪い歯を放置してくると更に治療費はかかる結果となります。
歯が悪いまま放置すれば、治療回数も治療費用もかさばってくることがわかると思います。そのようにならないためには、日頃からの歯の健康維持が大切であることは言うまでもありません。 多くの調査から、定期的に歯科医院を受診し、歯の検診とメンテナンスを受けている人はそうでない人に比べ歯を失う確率が格段に低くなっています。結果的に歯にかかる治療費も少なくなるわけです。歯医者は痛くなってから行く場所であるというイメージが世の中には強いですが、積極的に痛くなくても歯医者を利用することの方が、結果的には歯の健康を維持でき、治療費もかかりません。 少なくとも、歯に何らかの異常を感じれば、放置せず、我慢せず、症状が小さいうちに歯医者に行って適切な治療を受けて欲しいと思います。
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