2008年04月16日(水) |
明治は遠くになりにけり |
うちの歯科医院の近くに某老人保健施設があります。うちの歯科医院はこの老人保健施設の協力歯科医院として定期的に往診に出かけ、施設に入居している高齢者の歯の治療や口腔ケアに当たっています。 老人保健施設は自分で生活をすることが困難な病気や障害、家庭的な事情により入居している高齢者ばかりなのですが、最近、これら高齢者の診療をしていて感じたことがあります。それは、明治生まれの方が少なくなったということです。少なくなったというよりもほとんど見かけなくなったと言った方が正しいかもしれません。その代わり、昭和生まれの高齢者が多くなってきたように思います。
冷静に考えてみれば当然のことかもしれません。手元にある年齢早見表をみれば、今年明治40年(1907年)生まれの方は101歳になられます。明治の最終年である明治44年(1911年)生まれの方で97歳。大正元年(1912年)生まれの方では96歳なのです。一方、昭和元年(1926年)生まれの方では82歳です。
現在、日本人の平均寿命は男性で79.00歳、女性で85.81歳です。すなわち、男性は昭和4年生まれ、女性は大正11年から12年生まれの方が平均寿命の対象年齢ということになります。
総務省の統計によれば、2007年10月1日現在の明治生まれの人口は約28万人程度のようです。日本国の人口が約1億2千7百万人ということを考えると、日本の中の0.2%程度しか明治生まれの人はいないことになります。既に明治生まれの方は日本の中でも少数派になってしまったということは、これらデータを見ても明らかなことだと言えるでしょう。
ところで、僕が幼少の頃、おじいさん、おばあさんのイメージといえば明治生まれの人でした。今から30年以上前であれば当然そうではあったのですが、僕はその当時のイメージをそのまま持ったまま今に至っています。ついつい今の高齢者もついつい明治生まれだと思ってしまいます。ところが、現実は異なっています。時間の経過により僕がおじいさん、おばあさんと感じていた人たちは、既に明治生まれが少数派となり現在では、女性では大正時代後半生まれ、男性では昭和一桁生まれの方が主流になっているのです。
そういえば、昭和6年生まれのうちの親父も今年77歳。そろそろ日本人の平均寿命に近づいてきています。僕にとっては親父ですが、僕のチビにとってはおじいさんそのもの。平成生まれのチビにとって、おじいさんとは昭和一桁生まれということになります。 時代に流れに逆らうことは誰もできませんが、僕にとって優しい人たちであったおじいさん、おばあさんが明治生まれではないという現実。心のどこかで寂しい気がしてならなかった、今年42歳のおじさん、歯医者そうさんでした。
|