歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年04月08日(火) 受話器の向こうから聴こえる声

先日、アメリカ大リーグのニューヨークヤンキースに所属する松井秀喜選手が結婚し、婚姻届を提出したというニュースを耳にしました。齢33歳になった松井選手ですが、シーズン開幕前のキャンプ中に結婚式を挙げ、シーズン突入直後に婚姻届を出したということで春から縁起が言い訳ではないでしょうが、そこそこの成績を残しているようです。

この松井選手に関するある記事を目にしました。その記事を書いた記者は松井選手とは古くからの友人でもあったそうですが、記者の仕事とは関係なく何気なく松井選手の自宅に電話をかけたところ、受話器の後ろから食器を洗う音が聴こえたそうです。そこで、この記者は松井選手に
「彼女がいるだろう?」
と尋ねたところ、
「お前はそういうところは鋭いなあ」
と言いつつ、彼女の存在を認めたのだそうです。

何気なく電話をかけた相手の受話器の向こう側に関しては、僕もいくつか思い出があります。その一つは以前付き合っていた彼女との電話です。
今のようにファックスや携帯電話、メールが普及していなかった僕の青春時代、彼女との連絡といえば専ら固定電話でした。彼女が家にいる時間であまり遅くない時間に電話をかけたものですが、多くの場合、電話に最初に出てくるのは彼女のお母さんであったり、妹、弟といった兄弟姉妹であることが多かったですね。最初に電話に出てくる人にドキドキしながらも、彼女が出てくるまでの間、彼女が出てくることを今か今かと待ちながらも、受話器の後ろから聴こえてくる物音には興味がありました。なぜなら、何も見えない電話の受話器から聴こえる物音には彼女が生活している空間の一部が垣間見える、いや、垣間聴こえていたからです。物音しか聞こえませんから想像を働かすしか仕方がなかったのですが、それでも彼女の家で発せられる音には彼女の生活臭がするような気がして、それはそれで楽しいものを感じたものです。
そのことを当時の彼女に話をすると、彼女も僕の家に電話をかけてきた時には同じようなことを感じていたとのこと。ついつい長電話になってしまう彼女との電話でしたが、その電話は彼女を待っている間から始まっていたものです。

ところで、受話器の向こう側から聴こえる音には強烈なものもありました。ある大学時代の親しい友人に久しぶりに電話を掛けた時のことです。ある会合のことで彼に出席をするか尋ねてみたのですが、彼が僕の言った内容を繰り返し言っていると、受話器の向こう側から大きな怒鳴り声が聴こえたのです。

「あんた、その日は家族で旅行をする日だと前から言っていたでしょ!もう忘れていたの?いい加減にしてよね!」

何だか親友が怒られているのではなくて僕が怒られているような錯覚を覚えました。怖かったですね・・・。親友が恐妻家であることを身を持って知った瞬間でした。

その時以来、僕は友人に連絡をする時は仕事場である歯科医院か携帯電話、携帯メールにするようにしています。彼の自宅の固定電話には二度と掛けたくありません。受話器の向こう側の声が怖いですから。


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