2008年04月03日(木) |
後期高齢者患者用カルテが無い! |
4月1日から始まった後期高齢者医療制度ですが、突如として名前が長寿医療制度と名称が変更になりました。ただでさえ新しい制度で混乱し、医療側も患者側も対応で必死になっている最中の名称変更。一体国は何を考えているのだろう?と思いたくなりますね。後期高齢者というネーミングが悪いということで長寿と名前を変えたのだという話のようですが、名前を変えても中身は変わらないわけです。今後、高齢者の懐に直に影響してくることでしょう。大変な医療制度ができてしまったものです。
この後期高齢者医療制度ですが、僕は初日に思わぬことに出くわしてしまいました。それは後期高齢者保険証を持っている患者専用カルテがないことです。
通常の保険診療で使用するカルテですが、歯科では患者さんが属する保険の種類によって3種類のカルテがあります。社会保険被保険者用、社会保険被扶養者用、そして、国民健康保険用です。保険診療では歯科医院に来院する患者さん用のカルテはこの3種類のカルテを使わなければならないことになっているのです。
これが社会保険被保険者用カルテです。拡大はこちらです。見ての通り、青紫色の文字と枠で囲まれたカルテです。
これが社会保険被扶養者用カルテです。拡大はこちらです。赤色の文字と枠で囲まれたカルテです。
これが国民健康保健用カルテです。拡大はこちらです。緑色の文字と枠で囲まれたカルテであることがおわかりかと思います。
これまで保険診療の場合、この3種類のカルテで事足りたわけです。ところが、今回の後期高齢者医療制度、長寿医療制度では、75歳以上の方は全て都道府県単位の広域連合の保険に加入することになります。各事業所の社会保険組合や各国民健康保険組合とは全く違う保険組合に属することになるのです。 従来であれば、社会保険組合の組合員の場合、被保険者と被扶養者の二種類のカルテ、国民健康保険組合であれば被保険者、被扶養者の区別無く一種類のカルテというように属する健康保険組合ごとにカルテが分けられていたのですが、後期高齢者が加入する広域連合組合用のカルテが無いのです。
早速僕は周囲の歯医者仲間に尋ねてみましたが、僕と同じ悩みを持っている歯医者が多かったことに気がつきました。歯科医師会の担当者にも尋ねてみましたが、現在関係省庁に問い合わせ中とのこと。思わぬアクシデントです。
カルテは患者さんの保険証情報や治療内容を記録する大切な用紙であり、公文書扱いされる文書の一つでもあります。そんなカルテに不備があってはいけないことなのですが、保険制度の改正によって思わぬカルテの不備が露見してしまったようです。
僕はやむを得ず国保カルテを代用していますが、この問題、一日も早く国には対策を立てて欲しいと願わずにはいられません。
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