歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年03月28日(金) 用意周到な準備がいるケンカ相手

先日、僕は地元歯科医師会の代表の一人として地元市の担当者と話をする機会がありました。いくつかの懸案事項について話し合ったのですが、地元市の担当者の一人が歯科に関することを非常によく調べていたことに驚きました。我々歯科業界人でないとなかなかわからないような細かい点まで調べ、理解していたのです。この日の会合では懸案事項はスムーズに解決の方法に導かれていったのですが、担当者との話し合いの後、僕は同席していた地元歯科医師会の上司の一人であるK先生と話をしました。

「それにしても、担当の○○さんはよく歯科のことをご存知でしたね。」
「○○さんは相当念入りに歯科業界のことを調べて理解しているのだと思うよ。大したものだよ。」
「もともと○○さんは医療に明るかったわけではない人だったはずですよね。」
「数年前に我々と初めて会った時は歯科のことを何も知らなかったよ。業界用語を一つ一つこちらから教えていた時期もあったくらいだったんだよ。それが今では我々と対等に話ができるくらいになっているよ。」
「もともと歯科のことに興味があったのでしょうか?」
「そういう側面もあったかもしれないけど、担当者として勉強したんじゃないかな。それとね、一つ忘れてはいけないことがあるよ。それは彼が役所に勤めているということだよ。」
「それはどういうことですか?」
「役所に勤めている公務員というのは何か問題が生じた時に責任を取らされることを最も嫌うわけなんだよ。市民から税を預かり公務を行っている公僕であるから、何か起こったら大変なことになるでしょ。責任は重大なわけよ。そのようにならないように普段から保身を考えることは、彼らの習慣のはずなんだよ。」
「保身ですか?」
「そう、保身。保身のためには単に言い訳をするだけではなく、それなりの知識、情報を持ち合わせておかないといけない。充分に準備をすることによって何か問題が起こったり、相手から問題を起こされた時に対処できるようにする。今回の○○さんの対応を見ていると、表面上は非常に歯科のことに理解があるように思うのだけど、自分が知っている全てを口に出しているわけではない。小出しにして話をしている。自分の手の内を全て出さずにね。用心しながら話をしているような所があるよ。我々とは打ち解けて話をしているように思うけども、肝心なところは言葉を慎重に選んで話をしている。彼こそまさしく公務員、優秀な公務員なんだろうなあと思う。我々にとっては、交渉相当としては相当タフな人であることは間違いないよ。」
「ケンカ相手としては相当手強いということですか?」
「ケンカするにはこちらも用意周到に準備をし、気合を入れてしないといけないということだね。単に感情的にしてしまうと相手の思うツボだよ。」


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