2008年03月07日(金) |
使い方に気を遣う専門用語 |
昨日、インターネットのニュースを見ているとこのようなニュースが流れていました。
国立国語研究所が全国の医師を対象にした調査で患者さんに理解されなかった言葉が736語になることがわかったというのです。 調査は昨年11月に行われたそうで、最も理解されにくかった言葉が“予後”だったとか。一般的には、病後の経過や病気のたどる経過についての医学的な見通しを指す言葉ですが、がん診療の際には「余命」の意味で使うことが多いのです。77人の医師が「意味が通じなかった」などと回答していたとのこと。 それ以外にも、「陰性」の場合は、「『インフルエンザは陰性でした』と言うと、『やはりインフルエンザでしたか』と言われた」とか、本人や家族にショックを与えないよう「がん」を「悪性腫瘍(あくせいしゅよう)」と言い換えたところ、「『がんでなくてよかった』と誤解された」という回答もあったとか。陰性というのは陽性の反対で、特定の病気に対する検査で反応がなかった、すなわち、特定の病気ではなかったという意味です。腫瘍というのは、がんのことですが、一般に転移の可能性があり、命の危険に及ぶがんのことを悪性腫瘍、転移の可能性がなく、命の危険性が無い腫瘍を良性というのです。
今更ながら、患者さんに対する言葉の使い方の難しさを感じた、歯医者そうさん。
どの業界にも業界用語というものがあり、業界の人以外からすれば理解できない言葉があるものです。医療業界などはその最たる例ではないでしょうか。普段、歯医者同士やスタッフ中で話している専門用語が患者さんからすればチンプンカンプンであり、歯医者が当たり前に使っている言葉で説明したことが患者さんに伝わっていないことが多々あるのです。
僕が“歯医者さんの一服”日記を書く際、常に気をつけていることがあります。それは、なるべく歯や口の中のことのことを書く際には、専門用語を使わず、わかりやすい言葉で書くことです。
例えば、齲蝕ですが、齲蝕と書いて理解できる人はどれくらいいるでしょう?カリエスですが、カリエスと聞いてその意味がすぐにわかる人はどれくらいいるでしょう?齲蝕、カリエスの意味は、両方ともむし歯です。むし歯と書けば誰でも理解できても、齲蝕やカリエスと書くと訳がわからなくなるものです。僕は“歯医者さんの一服”日記では常にむし歯と書いています。
クラウンやインレーといった用語もそれぞれ“被せ歯”や“詰め物”というように書いているつもりです。ブラッシングなどは最近一般の方にもかなり浸透してきているとは思いますが、僕はなるべく使わず、歯磨きと書いているつもりです。
根管治療については神経の処置とか神経の治療と書いていますし、義歯やデンチャーは入れ歯と書いています。その他いろいろありますが、専門家以外の人が容易に想像しやすい言葉で専門的な話をしようと努めているつもりです。
国立国語研究所ですが、今後、言語学者や医師、看護師など約20人による「病院の言葉委員会」を設け、今年秋までに中間報告をまとめるとのこと。最終的には、医療用語50〜100語を選び、公表するのだとか。患者側にも広く公開したい考えだそうです。僕も是非活用したいですね。
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