歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年02月26日(火) 歯医者はいつも上から目線

世の中には、普段の何気ない生活習慣により、自分自身が勝手に偉いと勘違いしてしまうようなことがあるように思います。

以前僕の日記にも書いたことですが、“先生”と呼ばれている職業の場合、自分でも意識していないうちにいつの間にか先生面してしまい、周囲の人に対して傲慢になってしまうことがあります。恥ずかしい話、僕自身がそうで、四六時中周囲から“先生”と呼ばれていると、いつの間にか自分が他の人とは違っていると勘違いしてしまう危険性をいつも感じます。専門家として患者さんの口や歯の治療をしていますが、あくまでも専門家として仕事をしているのであって、偉くはない。そのことを常に意識をしているつもりではいるのですが、自分が気がつかないうちに言動に驕り、思い上がりがあるような時があるかもしれません。

以前、ある運送関係の会社に勤務している知人から言われたことがあります。

「ダンプトラックを運転しているといつの間にか人を見下ろすような言動をするようなことがあるんだよ。」

この知人曰く、
“ダンプトラックの運転席は普通の自動車とは異なり、車の構造上高い位置にある。そのため、いつも上から下を見下ろすような形で周囲を確認しながら運転しているのだが、運転手本人も気がつかないうちにいつの間にか周囲を見下ろすような言動をするようなことが多いとのこと。運転手自身はそのような自覚はないのだが、長期間高い位置の運転台で運転をするような仕事をしていると、その環境に感化され、いつの間にか自分が偉くなったような、他の人とは次元が違うような気持ちになってしまい、そのことが周囲を見下すような言動につながっていくのではないか?”
という意見でした。

知人の意見を思い浮かべていた僕は、あることに気づきました。実は歯医者も同じような環境にあるのではないかと。すなわち、患者さんに対して上から目線で話をするという危険性です。
患者さんの口の中を治療する際、ほとんどの場合、患者さんは診療台の上に寝てもらい、口を開けます。その口の中を歯医者は上から覗き込んで治療をするわけですが、歯医者の視線は自ずと上から目線にならざるをえません。これは治療上仕方のないことではあるのですが、長年こうした習慣を続けていると自分では意識していなくても上から目線が患者さんに対する言動に微妙に影響するのではないか?そのようなことを感じたのです。

このことを他の歯医者に話せば、それは考えすぎだと指摘されるかもしれませんが、僕はあながちうそではないと思うのです。それこそダンプトラックの運転手と同じではないかと。常に上から患者さんを覗き込むような視線を続けていると、その姿勢は単に肉体的な影響だけでなく、考え方、精神的にも影響が及ぶのではないか?
歯医者は自分の診療姿勢を今一度見直し、自分の言動に傲慢さ、横柄さがないか常に確認する必要があるのではないかと思うのです。

多くの歯医者は個人開業医です。個人開業医の長として、スタッフの上に立ち診療所を切り盛りし、患者さんに接するわけですが、その反面他の世界を知らない井の中の蛙になりやすいですし、お山の大将になってしまうリスクもあります。患者さんに対する視線が常に上からだという意識を持ち、注意しておくことも歯医者自身が自分を冷静に振り返る際には必要なことではないか?

自問自答する、歯医者そうさんでした。


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