2008年02月13日(水) |
医療費領収書の再発行について |
先日、うちの歯科医院に電話がかかってきました。
「医療費の領収書の再発行はできますか?」
来週始めである2月18日から確定申告の受付が始まります。確定申告をするにあたり、様々な添付書類を準備しないといけないわけです。僕は長年懇意にしている税理士と契約しており、確定申告に関してはその税理士さんに手続きを一任していますが、それでも、様々な書類の点検は欠かせません。
皆さんご存知のことと思いますが、前年に支払った医療費は保険金などを差し引いた額が、10万円以上、または所得金額の5%のいずれか少ない金額に対し、還付申告ができます。ただし、医療費控除には医療費を証明する領収書の添付が求められています。
毎年、確定申告が近づくと、医療費の領収書を求める患者さんが数多くいるのが常でした。 毎年今頃には何人もの患者さんが前年の治療費を月ごとにまとめた領収書の発行するように言われたものです。うちの歯科医院でもそのような患者さんの求めに応じて領収書を発行していたものです。
医療機関では2年前から医療内容の明細が書かれた医療費の領収書の発行が義務付けされました。これは医療費の不正請求を防ぐために設けられたもので、毎回の治療終了時に患者さんに手渡さないといけないのです。うちの歯科医院でも全ての患者さんに毎回の治療終了時に領収書を手渡しています。患者さんに対しては大切に保管するようにお願いしています。
ところが、毎年確定申告の時期になると必ずといっていいほど医療費の領収書について問い合わせがきます。中でも多いのが医療費の領収書の再発行です。患者さんの中には毎回の治療終了後に発行された領収書を何らかの理由で紛失してしまったため、再発行を求めるような方がいます。冒頭にかかってきた電話もそうした領収書の再発行についての問い合わせだったのです。
うちの歯科医院では、領収書の再発行は断っています。
そもそも、領収書については民法に規定があるようで、領収書の発行は1度だけでよく、再発行をする義務はないとされています。再発行する際には、その領収書が再発行であることを明記したものを発行すればいいとされているようです。法律上は再発行可能なようです。
以下、僕の独断ですが、そもそも領収書というのは、領収書に書かれた金額の受け取ったことを示す書類です。いくら再発行だとはいっても再発行ということは領収書を2枚発行することになります。こちらがお金を受け取っていないのに領収書を発行することが果たしていいのかどうか?僕は非常に疑問に感じるのです。
また、患者さんを信頼していないというわけではないのですが、再発行した領収書を二重控除として悪用される可能性もないことはありません。再発行であることを明記していれば問題がないとはいっても、領収書を再度発行することは、歯医者である僕にとって非常に抵抗感があるのです。
厳しいことを書くようですが、そもそも領収書を紛失することは全く同情の余地はないと僕は考えます。特に、医療控除を考えれば、治療費を記した領収書の保管はいい加減なことではいけないはずで、これを紛失してしまうということは、医療費控除を受けるつもりはないことを自ら示しているように感じられてならないのです。 医療機関が出す領収書の発行経費は、医療費の中に含まれるものとして、実質医療機関の持ち出しとなっています。このことをご存知ない方が多いかもしれませんが、毎日何枚もの領収書を発行する経費は決して馬鹿にはならないものです。多くの医療機関で、領収書の再発行は認めていない背景にはこうした現実があるのです。もし、認めるとしても発行に発生する経費を請求することがあるくらいです。
かつて、毎回治療終了後の領収書の発行が義務付けられていなかった時は、うちの歯科医院では確定申告の際の領収書の発行は無料で行っていました。一種の好意として行っていたのですが、毎回領収書を発行するような態勢になってからは、行っておりません。
皆さんにおかれましては、医療機関で発行された領収書は、紛失することがないように大切に保管して欲しいと思います。
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