歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年01月25日(金) うがい薬で歯にマニキュア?

昨年夏に発売され、ちょくちょくテレビCMでも取り上げられている洗口液にこれがあります。

白い歯にツヤと輝き&殺菌

という宣伝文句で販売しているようです。デンタルマニキュアと称し、洗口液の中に含まれたある成分によりマニキュア効果が得られ、白い歯にツヤと輝きが得られ、殺菌効果も期待できるとのこと。現代の美容志向に訴えたコピー文であることは疑いようの無いことですが、果たしてうがいをしただけで白い歯にツヤと輝き&殺菌をもたらすことができるのでしょうか?

車の洗車をイメージしてみましょう。車が汚れていれば水をかけながらブラシやタオルで汚れを落とし、乾燥させながら艶出し用のワックスをかけますよね。最近はいろいろな車洗い用製品があるようですが、基本は汚れを充分に洗い流してから艶出し用ワックスをかけるのが基本です。
白い歯にツヤと輝きを求めることも車の洗車に似ています。まずは充分に歯磨きをして汚れを落とさなければなりません。洗口液さえ口に含んでおけばむし歯や歯周病にならないと堅く信じている人が少なくないようですが、実際のところは洗口液だけでは歯の汚れを取り除くことはできません。歯の表面に歯ブラシを当てて動かさないと歯の汚れを取り除くことはできないのです。歯ブラシで歯の汚れを取り除いた上で薬用洗口液を含むのであれば、それなりの薬効は期待できるかもしれませんが、最初に歯ブラシによる歯磨きがなければ洗口液の効果は全く期待できないのです。

非常に微妙なのが、マニキュア効果というものです。マニキュアではないのです。歯にマニキュアをすることができる話は以前にも書きましたが、歯医者が行うマニキュアというのは一種の詰め物なのに対し、今回の洗口液はあくまでも“マニキュア効果”です。使用後、歯に一種の薄い膜用のものができるために如何にも輝いてみるように見えるらしいのですが、実際のところは、これらは直ぐにはげてしまうのが現状です。仮にうまくいったとしても、充分に歯磨きをせずに使用すると洗口液により歯の汚れが固定され、むし歯や歯周病になりやすくなるリスクさえあるのです。使い方を誤ると、かえってむし歯や歯周病になってしまうことさえあるのです。

宣伝コピーをみると、洗口液を使用するだけで、指にマニキュアを塗るがごとく歯に白いマニキュアが塗られ、白い輝く歯が得られると思いがちですが、実際のところは、適切な歯磨きを習得してからでないと使用が難しい代物であるのです。


 < 前日  表紙  翌日 >







そうさん メールはこちらから 掲示板

My追加