2008年01月24日(木) |
全てのアスリートにマウスガードを |
マウスガード、マウスピースという単語を一度は耳にされたことはありますか?ボクシングやキックボクシング、K−1といった格闘技やアメリカンフットボールなどで装着が義務付けられている装具の一種です。
マウスガード、マウスピースを装着する目的は、怪我の予防、軽減です。競技相手と激しくぶつかり合うスポーツであれば、どうしても頭部や顔面も激しくぶつかり合う可能性があるもの。激しくぶつかり合わない方が不自然であるくらい、頻繁に接触することがあることでしょう。頭部や顔面に激しい衝撃が加わると口の中にも相当の衝撃が伝わります。伝わるだけならまだしも、歯を損傷したり、口の中の粘膜が傷ついたりします。また、上下の歯を激しくかみ合うことで脳震盪になる可能性も高い。そうした状況において、口の中にシリコン製のマウスガード、マウスピースを事前に装着しておけば、一種の緩衝材、クッションとして働き、外部からの衝撃が緩和されます。緩和されることで歯や口の中の粘膜の損傷、脳震盪の予防、軽減が図られます。
スポーツ界全体に目を向けると、マウスガードを装着することを義務化しているスポーツは、上に書いたボクシング、キックボクシング、K−1、アメリカンフットボールをはじめ、ラクロスやインラインスケートなどが挙げられます。 しかしながら、マウスガードが必要不可欠ではないかと思われるスポーツでまだマウスガードの使用が義務付けられていないが現状です。例えば、ラグビーやアイススケートなどは一部ではマウスガードの装着が義務化されているものの、全ての競技者の装着は義務付けられていません。また、ホッケーやバスケット、サッカー、バレーボール、水球などもマウスガードの装着が有効だとされているのですが、実際に装着している選手は少ないようです。この背景には、これらスポーツの愛好者の間にマウスガードに対する認識が充分ではないことがあるでしょう。また、マウスガードを装着することによって競技パフォーマンスが向上するということが言われており、マウスガード導入に消極的でない考えがあるという話しを聴いたことがありますが、実際のところ、マウスガードによる競技パフォーマンスの向上に対する証拠やコンセンサスというのは科学的に証明されていないのが実情です。
マウスガードを装着し始めた頃は、誰でも多少の違和感はあることでしょう。しかも、マウスガードは歯医者が作りますが、基本的にオーダーメードであり、保険診療では作れません。自費です。しかも、使用に耐えうる期間は、僕の経験では原則1シーズン、場合によっては1シーズンに複数のマウスガードが必要の場合もあります。 スポーツと怪我は切っても切れない関係にあるものですが、万が一怪我をしたとしてもなるべく軽症でありたいものです。怪我を回避できるのであればそれに越したことはないはずです。マウスガードの装着によって口の中の怪我をする確率が下がるのであれば、全てのスポーツにマウスガードの装着を義務付けて欲しいと思います。
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