歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年01月15日(火) 悪女の深情け

先の日曜日の昼、僕は何気なく某新婚カップル紹介番組を見ておりました。この番組、嫁さんが好きで毎回見ているくらいなのですが、いろいろな新婚カップルがいるものだと思います。僕自身、何人もの夫婦やカップルを見てきてはいるのですが、しばしば感じることは、どうして男と女が結ばれるのであろうということです。一見して、お似合いの夫婦が数多くいる一方、お似合いとは思えないような夫婦も確実に存在します。中でも不思議に思うことは、夫婦のうちどちらかが美男、美女で相手方がそうではない夫婦がいるということです。数多くの男女がいる中でどうしてこの夫婦はお互いを人生の伴侶として選んだのだろう?これまで何度となく見てきた某新婚カップル紹介番組で登場した新婚カップルの中にも、どうしてこの人とあの人が夫婦になったのか?と思いたくなるような新婚カップルがいました。

この時僕が思い出したのは学生時代の女友達Hでした。Hと僕は友人ではあるのですが、彼女との出会いは鮮烈でした。
大学入学して間もなく、僕は友人同士で徹夜マージャンをした後、講義を受けておりました。入学当初、徹夜マージャンをしても翌日の講義には出ないといけないと思っていた時期でもありました。眠たい目をこすりながら僕は講義に出ていたのですが、講義の間、絶えず睡魔が訪れておりました。講義を聴いているつもりでもいつの間にか目をつぶってしまっている始末。案の定、講義の間の休み時間は講義室の中で寝てしまっておりました。その時です。誰かが僕の肩を叩いていたことに気がつきました。僕が眠たい目をこすりながら顔を上げてみた時に僕は飛び上がるほどびっくりしました。僕の顔の前に大きな女性の顔があったからです。僕は思わず

「びっくりした!君は強烈すぎるわ!」

その女性がHだったのです。Hは僕があまりにも絶えず寝ているので体調を崩しているのではないかと気にかけてくれていたようなのですが、僕からすれば眠気をいきなり起され、ふと瞼を上げた瞬間にHの顔があったわけです。しかも、Hは器量が良い方ではありませんでしたから、起された瞬間、僕は何かお化けを見たかのような錯覚に陥ったのです。

今から思えばHに対し大変失礼な、申し訳ないことをしてしまったことをしてしまったと反省しているのですが、不思議なものでその時から彼女との友人としての付き合いが始まったように思います。
Hは非常にざっくばらんとして友達でして、男性の僕からみて女性を感じない、気を遣わない友人でした。お互い結構言いたいことを言い合ってはいたのですが、特に後に感情のしこりを残すようなことはない間柄だったのですが、そのHがある時から僕を避けるような行動をしだしたのです。一体何事かな?と思っていたのですが、その理由は直ぐにわかりました。Hに彼氏が出来たからです。その彼氏とは、僕の友人でもありイケメンであったK君でした。器量が良いとは決して言えないHがイケメンのKをどうしてゲットできたのか?正直言って僕には理解できませんでしたが、後日、お互いの関係が皆の間にオープンになってからも恥ずかしがることなく、堂々と付き合っている姿を見て、学生時代の僕は男と女の関係というのは顔だけで決まるものではないのだなあと強く感じたものです。

このことを嫁さんに話すと、嫁さん曰く

「それは『悪女の深情け』っていうものの典型例だよね。」

悪女の深情けとは、器量の悪い女ほど情が深いという慣用句なのですが、なるほど、学生時代の友人Hはまさしくその典型だったことでしょう。Hは僕にひどいことを言われても全く動ずることなく、むしろ笑いとする精神的なたくましさがありました。そして、何かと気を遣い周囲からの受けは大変良いものがあったのです。Hのきめ細かい心遣いは友達の間でも評判でしたが、恋愛においてもこれぞと思った相手にはここぞとばかりに情を注ぐ一途さがあったのだろうかと推察します。

その後、Hとその彼氏の付き合いはそのまま続き、結局、結婚を果たしました。今では2人の子供を持つ家庭を持つまでに至っております。Hのことを思い出すと、結婚というのは見た目だけで決まるものではない。お互いの気持ち、ハートをつかんだ者同士が結ばれるものだなあということを気づかされます。


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