2008年01月11日(金) |
さようなら、明るいナショナル |
昨日、ニュースを見ているとこのようなニュースが流れていました。
松下電器産業は、会社名を国内外でブランド名として利用している“パナソニック”に変更する方針を明らかにしたとのこと。欧米やアジア市場では、ブランド名のパナソニックが、社名の松下より浸透していることから、社名も統一して世界的なブランド戦略を強化するねらいで、社名から創業家の名称が消えることになる。 松下電器産業は国内では、冷蔵庫、洗濯機など白物家電製品に“ナショナル”ブランドを、パソコンや映像・音響機器には“パナソニック”ブランドを活用してきたとのこと。海外ではパナソニックブランドで統一して販売しており、松下よりもパナソニックが浸透している。 ただ、結果的に、松下、ナショナル、パナソニックという3ブランドが並び立つことになり、社名が世界中で広く知られているソニーと比較すると、「ブランドイメージで大きく見劣りする」(松下関係者)という見方が強く、社名を変更する動きは、中村邦夫会長が社長だった時代から検討されていた。この時期実行に移したのは、薄型テレビなどAV機器の北米市場でシャープやサムスンなどとの競争が激化、ブランド力を高めて対抗することが急務だと判断したとみられる。 創業者が命名したナショナルの廃止には慎重な意見が多かったが、「今回の社名変更や統一が一連のブランド改革の集大成」(松下関係者)とみられる。 幼少の頃、僕がよく遊んでいた祖父母の部屋には冬場には電気ストーブが置いてあったのですが、そこには“NATIONAL”の文字が書いてありました。当初、“NATIONAL”がどんな意味なのか皆目わからなかった僕ですが、毎日見ているうちにいつの間にか“NATIONAL”の綴りを覚えてしまいました。後日、“NATIONAL”が英語で国の、国の中のという意味であることを知ることになりますが、“NATIONAL”という文字は僕が初めて覚えた英単語という意味で非常になじみのある英単語でした。この“NATIONAL”が松下電器のブランド名であることを知ったのは後年になってからです。 また、祖母は時代劇が好きだったのですが、祖母がよく見ていたテレビの時代劇のスポンサーが松下電器でした。番組が始まる前には “明るいナショナル 明るいナショナル みんな家中なんでもナショナル〜” という歌で始まっていたものです。
亡くなった祖父は松下電器の創始者である松下幸之助のファンでした。松下幸之助関連の書物のみならず、PHP研究所が発行している雑誌を常に買い求め、読んでいた姿が今も僕の瞼に焼き付いています。当然のことながら、自分が使用していた家電製品のほとんどは“NATIONAL”だったのです。 このように物心ついてからの僕は、常に“NATIONAL”に接してきたと言っても過言ではありません。その“NATIONAL”ブランドが消えるというのは、時代の流れを感じるとともに一抹も二抹も寂しい気がしてなりません。 あまりにもなじみのある“NATIONAL”ブランド、僕と同じように“NATIONAL”ブランドの親しみを感じている人は多いのではないかと思います。ブランドを統一するのはいいのですが、かつての日産自動車がアメリカでなじみのあった“DATSUN”ブランドを”NISSAN“にすることによりアメリカでの認知度が下がり、それが自動車売り上げにも影響を及ぼした例もあります。長年多くの人に親しまれてきたブランドを変えることは、ある種のリスクも抱えます。僕には直接関係の無い話ではありますが、ブランドを統一することにより松下電器に悪影響が出ないことを願います。
ちなみに、松下電器は歯科業界向け製品も取り扱っています。松下電器グループの一つ、パナソニックデンタル社がそうです。です。歯科業界で用いるレーザー照射装置は、松下電器製のものは歯科業界ではかなりのシェアを占めている有名ブランドです。こちらは既に“NATIONAL”ではなく“PANASONIC”です。
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