2007年12月24日(月) |
飲用水医薬品残留問題 |
今日はクリスマスイブですが、先週の土曜日が休みであれば三連休の最終日でもあります。皆さん如何お過ごしでしょうか?
せっかくのクリスマスイブにも関わらずやわらかく無い話題で申し訳ないのですが、昨日の某新聞の大一面にこのような記事が載っていました。
大都市圏の浄水場の自ら少なくとも25種類の医薬品が検出され、一部は飲用水にも残留していることが厚生労働省の調査でわかったとのこと。環境省の研究班でも利根川、淀川で医薬品50〜60種類を確認したそうで、研究者らは、飲用水への流入はごく微量で直ちに人体に悪影響を与える量ではないものの、生態系への影響を懸念しているとのこと。今後、厚生労働省ではさらに3年をかけて詳しく調査するということらしいのです。
この問題、大都市圏の飲用水供給の難しさを改めて感じます。元来、上水道の源となる水源はきれいなはずなのですが、大都市圏では非常に多くの人が住んでいます。この多くの人たちに飲用水を提供しようとすると、その水源はどうしても大都市圏を流れる川を利用せざるをえないのが現状なのです。
そこで問題となるのが、取水地の問題です。川の上流に住んでいる人は水源地とほぼ同質の水を元に浄水した飲用水を飲むことができるのですが、下流の人は上流の人の下水を含んだ川の水を浄水した飲用水を飲まざるをえないのです。極端な話、大都市圏の下流の人は上流の人の排泄したおしっこやウンチを含んだ水を浄水して飲用水としているのです。 それでは、下流の人が飲用する水が飲めないかということになりますが、大都市圏の浄水場では様々な浄水処理をして飲用水として飲めるようになっています。
以前、漫画家の西原理恵子が大阪の水道水はまずいということを主張していたのですが、目隠しテストで出された水で西原理恵子が最も美味しいと判定したのは、何と大阪市水道局が浄水した浄水だったのです。大阪市水道局のシステムはこのようなもののようです。 日本の浄水システムはかなり高度なレベルに達していると言えるのです。
ただ、科学技術の進歩は今までわからなかった分野に明かりを照らす側面があります。かつて問題になった環境ホルモンの問題も、測定技術の進歩によって検出されるようになった微量物質の存在によってクローズアップされた問題です。今回の医薬品残留問題も同様で、測定技術の進歩と水道水研究の蓄積によって明らかにされてきた問題なのです。
既に環境省では、これら医薬品残留物質を処理できる技術を開発し、実用化に向けて検証中とのこと。科学技術の進歩によるイタチゴッコのような状態でもあるわけですが、大都市圏にお住まいの方は不安のない水道水を飲みたいと切に願っているはずです。今回の問題、新しい浄水処理システムが少しでも早く実用化され、現場に導入されることを願うのみです。
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