2007年12月21日(金) |
自動車会社が二足歩行ロボットを作る理由 |
先週末、僕は地元歯科医師会の有志の先生が参加した忘年会に参加してきました。忘年会に参加した先生たちは皆僕と同世代の先生が多かったせいか、普段話ができないような話をすることができ、非常に楽しい一時を過ごすことができたと思います。
中でも面白かったのは、僕と同い年のK先生の話でした。K先生は、元は某自動車メーカーの研究部門で研究員をしていた変り種。そこから突然歯医者になることを決意し、某歯科大学に入学、歯科医師免許を取り、歯科医院を開院したのです。以前からK先生の経歴は非常にユニークなものだと感じていたのですが、なかなかK先生に話をする機会がなかったのです。今回、肩のこらない忘年会だったこともあり、僕はK先生に尋ねてみました。
「僕が某自動車メーカーを辞めた理由は、某自動車メーカーの方向性が僕が感じているものとは異なってきたためなのです。」 「それって一体どうこと?」 「僕は幼い頃から自動車が大好きでして、それが高じて挙句の果てに某自動車メーカーの研究所に就職することができたのですよ。自分の好きなことを仕事にできる幸せを感じながら仕事をしていたのです。自動車屋として自動車を追究したい気持ちが強かったのです。ところが、実際に仕事をしていると、某自動車メーカーの研究面への力の入れ方がどうも自動車そのものに向いていないことがわかってきたのです。」 「自動車メーカーだから自動車の研究をするのは当然じゃないの?」 「誰もがそう感じるでしょ。僕もそうだったのですが、僕が勤務していた某自動車メーカーは将来、自動車を作っていくことに重きを置いていないことが徐々にわかってきたのです。」 「自動車メーカーが自動車以外のことで生き残りを図っているということ?」 「そのとおりなのです。そうさん先生は最近、某自動車メーカーが二足歩行ロボットを作っているということをご存知ですね。あれを見て何か奇妙なものを感じませんか?どうして自動車を作る会社が二足歩行ロボットを作っているのか?と。いくら将来に向けてといっても自動車とロボットではどのように結びついているかわかりませんよね。」
「僕が勤務していた某自動車メーカーは、将来、この二足歩行ロボットに社運をかけているんです。自動車を作ることで生き残っていこうとは考えていないのです。」 「それは、将来自動車産業が頭打ちになるからということなの?」 「それはあると思いますが、実はこの二足歩行ロボットの究極の目的は軍事用なのです。いろいろと二足歩行ロボットでパフォーマンスをしていて楽しそうなロボット、夢のあるロボットだという印象が強いですが、本当は軍事用に作っているんですよ。僕はこのことを知った時、某自動車会社で自動車を作る夢が無くなりました。僕は軍事産業に勤めたわけではない、車が好きで車を作るために某自動車メーカーに入ったんだ。いろいろと考えましたが、思い切って某自動車メーカーを退職することにしたんです。」 「上司や仲間からは突然の僕の離職にびっくりしていたようです。どうして止めるのか?僕の考えに理解できなかったようですが、最近、某自動車メーカーの研究仲間と話をしていると、『お前の突拍子もない行動は理解できるよ。俺も辞めようかなあと考えている』と言っていました。」
彼が言うには自動車作りは歯医者が口の中の治療をすることと共通していることが多いのだとか。自動車作りを成就できなかった夢を歯医者で追い求めているということでした。
|