昨日、我が家の郵便受けに届けられた郵便物を見ていると僕宛に封書が一通届いていました。非常に達筆な字で書かれた封書。誰からかと思い差出人を見ていると、僕が非常勤講師をしている某専門学校の学生Hさんの名前が書いてありました。
今シーズンの某専門学校の講義は10月下旬で終了したのですが、最終回の講義の際、僕はHさんに講義に協力してもらったのです。実は、講義の期間中、Hさんはある福祉関係の資格を持っていたことを伝え聞いていました。最近の専門学校の学生の中には、他の職種から転職するために通っている学生が何人かいますが、Hさんもそんな学生の一人でした。 たまたま、最終回の講義で取り上げる内容がHさんの持っている福祉関係の資格に密接に関係する内容でした。僕は、事前に某専門学校の学年担当の先生を通じ、Hさんにその福祉関係の資格について話を聞いていたのですが、単に福祉関係の資格と取得しているだけでなく、実際に現場で働いていた経験があることもわかったのです。 実際の講義だけでなく、福祉現場で働いたことがある経験者の生の声を講義に活かしたかったこと、それから、同学年の仲間に福祉関係の仕事の経験者がいることを知ってもらいたいということもあり、僕は最後の講義の一部の時間帯にHさんに話をしてもらうことを頼んだのです。Hさんは快く僕の申し出を引き受けてくれました。
僕の思惑通り、Hさんの講義は有意義なものでした。学生たちの反応は上々で、実際の教科書の内容よりも遥かに中身の濃い内容、現場に立たないとわからないところまで触れてくれました。講師として学生を指導している僕が聞いても非常に興味深いことがあったぐらいです。
後日、僕は某専門学校の学年担当の先生を通じ、Hさんに礼状を送りました。唐突な僕のお願いに気持ちよく答えてくれ、講義の一部を手伝ってくれたことに感謝をしたかったからです。講義終了後、口頭ではお礼を言いましたが、きちんと礼状はしたためた方がいいだろうと考え、礼状を送ったのです。 昨日、我が家に届いたHさんからの手紙は、僕が送った礼状に対しての手紙だったのです。内容は僕の礼状に対するお礼の言葉が書いてあったのですが、書いてあった内容も有難かったのは言うまでもありませんが、それ以上に驚いたのが彼女の書いた字の美しさでした。字の上手い下手で手紙を判断してはいけないとは思いますが、Hさんが書いた、流れるような美しい文字には、書いてある内容を更に深くさせるような魔法があるような気がしてなりませんでした。僕は思わず感銘し、その字に惚れてしまいました。
僕自身、非常にスケベな野郎ですから、これまで何度も女性には惚れてきたものです。これまで、女性に惚れるといえば、容貌や立ち振る舞いに惚れたことはありましたが、女性が書いた字で惚れるような経験は初めてです。字にも品格が表れることは伝え聞いてはいましたが、実際に自分宛の手紙に書かれた字の女性らしい美しさを見ると、表面からは伺いしることができない内面の美しさを垣間見ているように思えてなりませんでした。これほど感動できる美しい字体で書かれた手紙を受け取ることができた幸せ。Hさんからの手紙を一生の宝物にしたいと感じた、歯医者そうさんでした。
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