歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年11月22日(木) 思わぬ場所で顔パス

昨日、診療の合間をぬって近くの市のサービスステーションへ行ってきました。あることで印鑑証明が必要となったために出かけたのですが、そのサービスステーションに入った途端、僕はサービスステーションの事務員の一人から声を掛けられました。

「先生、お久しぶりです。」
僕が振り向くと、それはYさんでした。Yさんは長年うちの歯科医院に来院されている患者さんの一人で、地元市の公務員として市役所に勤務されていました。最近は、市内の市の支所や出張所に勤務しているという話は聞いていたのですが、それにしても、僕がよく出かけるサービスステーションにいるとは思いもよりませんでした。

「この4月からこちらのサービスステーションに異動になりまして、勤務しております」とのこと。

患者さんとは普段は自分の歯科医院の中で白衣姿で会っているわけですが、こうやって思いもかけぬ公的な場所で会うというのはなんだか恥ずかしい気持ちがします。

僕は印鑑証明発行申込用紙に記入し、Yさんに手渡しました。Yさんが印鑑証明発行申込用紙を確認している間、僕は財布から運転免許証を出そうとしました。
最近、様々な場所で申し込みを行う際、必ずといっていいほど身分証明を表すものの提示を求められますが、役所においてもいえることで、何かの証明書の発行を取りいく際、本人確認には運転免許証、もしくはそれに代わる証明の提示を求められます。
僕自身、自家用車で移動することが多いため、常に運転免許証を携行しているわけですが、僕が財布から運転免許証を取り出そうとした瞬間、Yさんは笑いながら

「先生、結構ですよ。先生のことはよく存じていますから。」

本来なら役所の内部規定や規約に抵触するのかもしれません。どんなに親しい人でも本人確認を怠たった際、何か事が起これば責任問題に発展しかねませんから。役所というところは何か責任がかかることを最も嫌う体質でもあります。ところが、Yさんはそんなことお構いなしというのでしょうか、僕に運転免許証の提示をさせなかったのです。
実際のところ、僕以外にサービスステーションに来ている人がいなかったことが大きかったのかもしれませんが、長年の患者さんと歯医者の関係で、思わず顔パスとなってしまいました。

人間、悪いことはできないものだなあとつくづく感じた、昼休み中、サービスステーションでの歯医者そうさんでした。


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