2007年11月13日(火) |
品格のある女性になれない僕 |
僕が所属する地元歯科医師会では年に数回一般市民の方を対象に無料で講演会を開催しています。口や歯の健康の大切さを啓発するための事業の一つなのですが、僕はこの一般市民向けの講演会の担当者として裏方の仕事を任されています。
一般市民向けの講演会といえば聞こえはいいのですが、開催当初はなかなか受講者が集まらず大変でした。地元市の広報に宣伝を出したり、市内の行政掲示板に広告を出したり、地元歯科医師会に所属する歯医者の先生の診療書にポスターを掲示したり、地元市の教育委員会や養護教諭の先生に講演会の周知をお願いしたり等々。先輩の先生方の地道な努力の結果、最近ではコンスタントに一定数の方が受講してくれるようになりました。
この一般市民向けの講演会で必ず準備しなければいけないものがあります。それは受講者に対するお土産です。 受講者を少しでも増やすためには講演会に来て良かったと思えるような工夫が必要です。単に講演会で知的好奇心を満足してもらえればいいのですが、口や歯の話となるとどうしても堅苦しい話になりがちです。講演会の内容が最も大切なのは言うまでもありませんが、それ以外にも何かオイシイところがないと歯科医師会が主催する講演会に毎回足を運ぼうとする人を増やすのは難しいのが正直なところです。
地元歯科医師会では受講者に対し、講演会終了後に受付にて土産を渡しています。 歯科医師会の講演会の土産というと、一体どんなものを想像されるでしょう?歯ブラシや歯磨き粉といった歯科関連グッズでしょうか?実はそうではありません。 本来、歯科関連グッズを手渡したいところなのですが、歯科医師会というのは個人ではなく歯医者という専門家が集まった団体です。この団体が特定の会社の歯科関連グッズと手渡すとなると、一般の市民から見れば、歯科医師会が特定の会社の製品を推奨していると思われます。歯科医師会は特定の会社の製品をえこひいきすることはできません。同じ質の製品であれば、どんな会社も公平に扱う義務があります。 それでは、いろんな会社の製品を取り寄せればいいのではないかという話になりますが、そうなると、お土産を受け取る受講者から不満が出ることが考えられます。いくらどの会社の製品も同じ質であると事前に説明しても、隣の芝生は青く見えるではないですが、他の受講者の受け取った歯科関連グッズが自分の物よりも優れている、不公平であると思われることもあるのです。
一体どんなものがお土産として適しているか?地元歯科医師会の先生がいろいろと試行錯誤しながら決めたものが花でした。小鉢に入れた花を受講者に一鉢ずつお土産として持って帰ってもらうのです。意外に思われる方がいるかもしれませんが、お土産としての花は毎度好評で、老若男女、誰もが喜んで持って帰られる土産なのです。
先週末も一般市民向けの公開講座が開催され、講座終了後、受講者に花をプレゼントしました。ところが、思わぬ問題が生じました。それは、手違いで参加受講者数以上の花が届き、余ってしまったのです。返品することもできず、結局のところ、公開講座を手伝っていた地元歯科医師会の先生で手分けして持って帰ることになりました。僕も二鉢の花を持って帰ってきました。下の写真の花です。
家で待っていた嫁さんに手渡すと、嫁さんは非常に喜んでくれました。
「きれいな花だね、そうさん、たまにはいいことするじゃない。」 「“たまには”だけ余計だよ。それはともかく、この花は何という花なの?」
実は、僕は花のことは非常に疎く、一体どんな花を持って帰ってきたのか全くわからなかったのです。僕の質問に対し、嫁さん曰く
「この花の名前も知らないの?」 と呆れ顔。
「知らないものは知らないよ。教えてよ。」 「これはガーベラというのよ。」
「最近、ベストセラーになっている本の一つに“女性の品格”って本があるけど、著者の坂東眞理子はこう言っているよ。『品格のある女性は花の名前をよく知っている』ってね。そうさんは品格のある女性にはなれないわね。」
嫁さんに一方的に言われっぱなし。
“僕は野郎ですけど”とは口が裂けても言えなかった、歯医者そうさんでした。
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