2007年11月12日(月) |
死んだ人間が生きている?! |
以前にも書いたことですが、僕が所属している日本歯科医師会には会員へ月1回会報が届けられます。日本歯科医師会雑誌という会報なのですが、その中に“会員の動き”という欄があります。この欄には、各都道府県単位の会員数の現況、入会者の先生と死亡退会した先生の名前が都道府県ごとに記載されています。
僕自身、いつも何気なくこの“会員の動き”欄を見ているのですが、先月号の“会員の動き”の中の死亡退会した先生の名前を見ていると、ある先生の名前が載っていました。その先生とはY先生。僕の出身大学の先輩であり、かつて仕事の関係で世話になった先生の一人でした。数ヶ月前にもある学会でお会いし、挨拶をさせてもらっていた先生だったのですが、そのY先生の名前が死亡退会の欄に記載死亡されていたのはびっくりしました。
今年50歳代後半のY先生ではありましたが、毎日朝ジョギングを日課とし、規則正しい生活を過ごしながらも歯科医師会の活動に熱心に取り組んでおられていたのです。そんなY先生の突然の訃報に僕はただただ驚くばかりでした。元気だった方が突然亡くなるようなことは決して珍しいことではありませんが、それにしてもこれまで病気らしい病気の経験が無く、元気ハツラツとしていた姿が印象的だったY先生が亡くなられたとは信じられませんでした。
ただ、気になることがありました。それはY先生が亡くなった話を僕は一度も耳にしていなかったことです。日本歯科医師会雑誌の“会員の動き”は実際に会員が入会したり、死亡退会してから若干遅れて掲載されるのものですが、僕はY先生の訃報は日本歯科医師会雑誌で初めて知ったのです。近隣の歯科医師会に所属していたY先生が亡くなれたのなら、もっと早くその話を耳にしてもよかったはずなのですが、僕は何も聞いていませんでした。それ故に、Y先生の訃報を驚きに感じたのです。
一昨日のことでした。我が家の郵便受けに一通の速達が届きました。速達の差出人は日本歯科医師会。日本歯科医師会から速達が送られてくるということはめったにありませんから、一体何事だろう?と思い封を開けてみました。すると中には一通の手紙が入っていました。タイトルが“記事掲載のお詫び”となっていました。 その内容は、何と先月号の日本歯科医師会雑誌の“会員の動き”欄の死亡退会に誤ってY先生の名前を載せてしまったことを陳謝するという内容だったのです。全くの事務的なミスだったそうで、Y先生本人、地元歯科医師会関係者に多大な迷惑をかけたことをお詫びする内容だったのです。とんだ迷惑を被ったY先生。さぞ大変だったことだっただろうなあと同情を禁じえませんでした。
昨日、僕は家族とともに某ショッピングモールに買物に行っていました。嫁さんやチビたちと歩いていると前方からどこかで見た顔の人が歩いてきました。それは今回の騒動に巻き込まれたY先生ご本人だったのです。僕は早速Y先生に挨拶をし、今回のトラブルに関して尋ねてみました。
「先生、今回の騒動はえらいことだったですね。何せ知らない間に死人にされていたわけですから。」
すると、Y先生は苦笑いをしながら
「私は生きているよ。死んだ人間が『生きている』と言っているんだから間違いない!」
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