2007年11月07日(水) |
差し歯、被せ歯の保証書 |
ここ数年、保険診療でクラウンやブリッジと呼ばれる差し歯や被せ歯を歯科医院でセットされた方は歯科医院の受付である紙を渡されると思います。この紙は補綴物維持管理説明書と呼ばれる書類です。下の写真は補綴物維持管理説明書の一例です。
これは歯科医院でセットしたクラウンやブリッジに対する一種の保証書のようなものです。保険診療の規則で、歯科医院において保険診療でクラウンやブリッジをセットした際、その歯科医院では2年間補綴物維持管理を行う義務があります。補綴物維持管理というとわかりにくいですが、セットしたクラウンやブリッジに対する一種の保証のようなもので、補綴物をセットした歯科医院ではセットした日から2年間はその補綴物に対して責任を持って管理する義務があるのです。 例えば、クラウンやブリッジが欠けたり、外れたり、むし歯が生じた場合、セットしてから2年間は治療費は患者さんに請求することができない、自分の歯科医院で経費を負担しないといけないのです。
実は、補綴物維持管理というのは保険診療の規則で、保険請求が認められ、治療費の中に含まれているのですが、クラウンやブリッジをセットした際必ず補綴物維持管理説明書を手渡さないといけないようになっているのです。すなわち、患者さんは保険診療でクラウンやブリッジをセットした際、セットした日から2年間はクラウンやブリッジに何らかのトラブルが生じた場合、治療費を負担する必要がないのです。 歯科医院ではクラウンやブリッジをセットしてからどれくらい経過しているか把握しています。うちの歯科医院でもクラウンやブリッジに何らかのトラブルが生じた場合、パソコンに登録している過去データを確認し、セットして2年以内かどうか確かめます。
最近の歯科医院では、補綴物維持管理中のクラウンやブリッジをセットしてから2年間は何のトラブルも起きないように定期検診や予防に力を入れる歯科医院が多いようです。これは患者さんの歯の健康維持を図るために大切なことでもありますが、その一方、セットしたクラウンやブリッジを点検する意味合いも一部あるのです。もし、セットしてから2年間以内にクラウンやブリッジに何らかのトラブルが生じれば、それは歯科医院での持ち出しとなりますから。
ただし、この補綴物維持管理はクラウンやブリッジをセットした歯科医院での話です。別の歯科医院でセットしたクラウンやブリッジが脱落したり、破損したからいって他の歯科医院で治療する場合、この補綴物維持管理は認められません。かかる諸経費は患者さんの負担となります。あくまでもクラウンやブリッジをセットした歯科医院での話ですので誤解のないようにしてほしいと思います。
ちなみに、補綴物維持管理はクラウンやブリッジだけの話です。乳歯のクラウンの場合は補綴物維持管理はありません。(最近は乳歯のクラウンというのは少ないのが現状ですが)。また、補綴物の中でもインレーと呼ばれる金属製の詰め物の場合も補綴物維持管理はありません。
歯科医院でクラウンやブリッジをセットした患者さんは受付で上記の補綴物維持管理説明書を渡されることとは思いますが、それは大切に保管しておいてほしいと思います。歯科医院でも補綴物維持管理を把握はしていますが、セットしたクラウンやブリッジに何らかのトラブルが生じた際には、補綴物維持管理の紙を必ず歯科医院へ持参して提示してほしいと思います。
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