2007年11月01日(木) |
歯にいろいろな形がある理由 |
歯医者さんの一服日記を読んでいただいている方はご存知のことと思いますが、人間の永久歯は28〜32本あります。28〜32本と幅を持たせたのは親知らずを含めるか含めないかと考慮してのことです。親知らずは生える人、映えていない人、骨の中に埋まっている人がいますから。今日の話では、人間の永久歯は28本あるものとします。
28本の歯ですが、大きく分けると3種類に分けられます。前歯、犬歯と臼歯です。前歯は中切歯と側切歯、臼歯は2本の小臼歯と2本の大臼歯から成り立っています。
どうして人間の歯は形態に種類があるのでしょう?正直なところ、どうして人間の歯にいろいろな形がある理由については諸説あります。哺乳類の進化の過程で形を変え、進化してきたであろうということは言えるのですが、その仔細に関しては解明されていません。
諸説ある中で有力な説として、人間の歯は食べ物を食べるために歯の形が進化してきたというものがあります。 まず、前歯についてですが、切るという機能に特化しているような形です。元来、多くの動物では捕食ということが行われてきましたが、これは歯を用いて動物を捕獲するために行われることです。前歯はこうした捕食に都合の良い形であるわけですが、人間の場合は野菜を切って食べるのに好都合なのです。 犬歯については、わざわざ歯の前に“犬”という単語がついています。犬の歯は大変鋭い歯であるため肉を噛み裂くことが容易であることは想像がつくと思います。人間においても同じで肉を噛み裂くことに重要な役割を果たしていると言えます。 臼歯に関しては、字にわざわざ“臼”という文字がついているくらいです。食べ物をすりつぶすことに非常に適した形です。かみ合わせの面が前歯や犬歯に比べ非常に大きな面積を占めていることから、臼歯で細かくすりつぶすことでその後の胃や腸での消化が行われやすくなっているのです。 ちなみに、物は細かく砕けば砕くほど表面積が大きくなります。食事をする際、よく噛むようにすることは、それだけ食物を細かく砕くこと、すなわち、食物の表面積が大きくなります。胃や腸ではそれぞれ酵素を含んだ消化液が働くことにより消化が行われるわけですが、同じ食べ物を食べても噛めば噛むほど食べ物のより多くの部分に消化酵素が働き、より多くの栄養を吸収しやすい結果となるのです。
話を元に戻しまして、先に書いたように人間の歯は前歯と犬歯、臼歯の割合が2:1:4の割合となっています。これは、人間の歯は野菜2:肉1:穀物4を食べるために非常に効率よく出来ているとも言えるのです。何だかこじつけのように思われるかもしれませんが、栄養学的な立場からみてもこの野菜2:肉1:穀物4の割合で食事をすることは、人間の健康に良いことが言えるのだそうです。 最近、食生活の乱れが指摘されていますが、食事の偏り、食べ物の好き嫌いが少なくないのが現状です。このような人たちは、歯の形から見れば歯の機能をフルに発揮できていない、不健全な状態を自ら生み出していると言ってもいいのかもしれません。
人間の歯は食べ物に応じて進化してきたと書きましたが、現在の人間が持っている歯を食べ物を食べる効率性、栄養摂取を元に考えると、上記の説は、まんざらうそでもない、意外と真実に近いように思えます。
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