| 2007年09月10日(月) |
プチ悪人がはびこる世の中 |
本来、生活保護というのは生活困窮者の最低限のセイフティネットとしての役割があるはずですが、昨今、生活保護の支給に関してこのような問題がありました。北九州市で生活保護を受けていた人が生活保護を打ち切られ、餓死するという痛ましい事件がありました。“おにぎりが食べたい”というメモを残し亡くなったこの男性に対し、北九州市の福祉行政に対する批判が沸き起こっていますが、実際のところ、北九州市の対応だけが問題なのだろうか?と僕は疑問に感じることがあります。その訳は、生活保護を申請する人の中に、明らかに生活保護を受ける資格の無い人たちが少なからず含まれているからです。中には、本来生活保護を受ける必要の無い人たちが生活保護を受けているからです。
先日、某病院で循環器内科医の弟が訪ねてきました。ある用事のために我が家を訪ねてきたのですが、雑談をしているとこのようなことを話していました。
「この前、ある患者さんの診察をしていたら、その患者さんが言うんだよ。『今度娘と一緒にヨーロッパへ旅行に行くんです』ってね。僕は“あれっ”と思ったんだよ。なぜなら、その患者さんは生活保護を受けている患者さんだったからだったんだよ。生活保護を受けているのに旅行に行くという意味がよくわからなかったんだよ。娘さんと一緒に行くということであれば娘さんが旅行費用を出してくれるのかもしれないけど、それなら生活保護を受けなくても娘さんの援助で生活していくことができるのじゃないか?他の患者さんがたくさん待っていたから『どうして生活保護なのにヨーロッパに旅行に出かけられるのですか?』と尋ねるのは控えたけどね。おかしな話だよね。」
この手の話はしばしば耳にします。生活保護を受けているはずなのに高級外車を乗り回したり、ブランド物の服装に身を固め、派手に遊んでいる輩が少なくないのです。どのような審査を受けて生活保護を受けているのか、詳細はわかりませんが、生活保護には、本当に生活が困窮しているようには思えない人が生活保護を受けている側面があるのです。
北九州市の福祉行政を弁護するわけではありません。報道さていることを見れば決して褒められたことではない、責められるべきことをしているように思いますが、このようなことになった背景には、生活保護の対象でない人が少なからず生活保護を申請し、受け取ろうとしていたことが何度もあったのではないかと思ってしまいます。
生活保護に限りませんが、本来本当に必要としている公的支援をだまし取ろうとする輩が多いように思います。例えば、今でも問題になっている給食費や保育園の保育費を支払わない親。本当は経済的に余裕があるにもかかわらず、勝手な理由をつけて支払おうとしない輩が後を絶ちません。弟の話によれば、最近は偽装離婚をする夫婦も多いのだとか。本当は離婚していないのに紙の上だけで離婚をしたことにし、様々な公的給付を受け取っているケースが多いのだとか。偽装離婚に関しては、なかなか役所の方も見破ることが難しく、対策に苦慮しているそうなのです。
弟と僕は、これら公金を受け取る資格が無いのに受け取っている輩、支払わなければならない公的サービス料を支払わない輩のことをプチ悪人と名づけました。 これらプチ悪人の特徴は、正当な理由がないのに公的な援助を受け取ったり、支払わなければならない公的サービス料を支払わないことです。公的な援助というのは非常に貴重な援助のはずですし、格差社会の今の世の中、必要とする人が多いはず。そんな人たちのことを省みず、自分はその資格がないのに自分だけが援助を受け取ればそれで良いと考える身勝手な輩。 また、公的サービスを受けるには一定額を負担しなければならない場合があるのに、公的サービスは無料だと勝手に思い込んでいる輩。 一体どんな環境で育ってきたのか?彼ら彼女らの思考回路を知りたいものですが、少なくとも社会全体を広く見つめる発想は持ち合わせてはいないでしょう。
公的な援助というものは正直言って高額が支給されるわけではありません。生活に苦しんでいる人に人間として最低限の生活ができるようにする援助なわけですからささやかな額のものであるはずです。そんな公的援助を受け取る資格もないのに堂々と受け取るというのは、全くせこいとしかいいようがありません。プチ悪人のプチの意味は決して“かわいい”というニュアンスではなく、単なる“せこい”、“けち臭い”意味のニュアンスを込めているつもりです。
きめの細かい行政サービスを行うのは大変なことだろうと思いますが、少なくともプチ悪人だけは世の中から一掃して欲しいと思います
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