歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年09月04日(火) ガンに侵された知事 宮崎県知事と静岡県知事

インターネット上のニュースを見ていると、宮崎県知事の東国原英夫知事が病院での人間ドックで甲状腺に腫瘍が見つかったということを公表した記事がありました。
タレントから転進した東国原知事ですが、知事就任してからテレビに出演しない日はないくらいテレビでしょちゅう姿を見るように思っておりました。宮崎県のPRのためにテレビ出演しているそうで、実際に宮崎県への経済波及効果はかなりのものがあったようですが、ほとんど休みなく働き続けているのは間違いないようで、健康面での問題が気になっていた中での甲状腺腫瘍発見の報道。今後、どのような処置、経過観察を行っていくのかわかりませんが、知事としての激務が体に悪影響を及ぼしていたのかもしれません。

同じ知事として健康を害したという意味では、先日、このような記事を見かけました。

静岡県の石川嘉延知事(66)が1日、県庁で記者会見を開き、歯茎の癌治療のため2日から同県長泉町の県立がんセンターに入院することを明らかにしたとのこと。3日午前に患部の切除手術を受けるそうで、入院は2週間ほど。その後約2週間、自宅療養する。復帰は約1カ月後の見込みで、その間は川口正俊副知事が職務を代行するそうです。
何でも石川知事は何でも6月頃から歯磨き時、歯磨きをしていると出血が止まらなかったそうで、おかしく感じた氏が専門家に診てもらったところ、癌であることがわかったようなのです。

口の中の癌というのは他の体の部位の癌に比べれば少数の部類に入ります。胃癌、肺癌に比べれば2%程度のごくわずかなのですが、その一方、口の中の癌は悪性度が強いのが特徴です。すなわち、口の中の癌の発生比率は少ないものの、発生した癌はたちが悪いものが多いということになります。記憶に新しいところでは、貴乃花のお父さんであった二子山親方が口腔底癌でなくなりましたが、これも口の中の癌です。僕は二子山親方が口腔底癌だと聞いた途端、先は長くないなあと感じました。その訳の一つが、口の中の癌とことで、悪性度が高く、早期に適切な処置を施さないと命がもたないことがわかっていたからです。

さて、口の中の癌の処置ですが、基本的には患部とその周囲を切除します。転移が疑われる場合、患部周囲を切除するだけでなく、転移を防ぐために癌の発生した部位の顎下、頸部リンパ節、場合によっては両方の顎下、頸部リンパ節を取り除くことも行います。これは郭清と呼ばれる処置ですが、中でも頸部のリンパ節は周囲に総頸動脈や迷走神経といった生命維持のために非常に大切な血管、神経が走行しているところに分散していますので、細心の注意を払って処置をしないといけません。
また、抗がん剤や放射線治療を主体に行ったり、手術を並行して行ったりするケースもありますが、これは症状、そして、発生した口の中の部位に応じてケースバイケースといっていいでしょう。
これら処置は、一般の歯科医院ではできません。発見はできるのですが、入院、全身麻酔下での処置が必要なことから、大学病院や総合病院の歯科口腔外科、耳鼻咽喉科、形成外科などが担当科となります。

これまで、全国の知事の中の二人がほぼ同時に自らのガンを公表したというのはこれまでなかったことです。ガンというと、誰しも精神的にショックを受け、周囲に話したくない病気であるはずなのですが、県政に携わる公人としての知事にはそのようなことは許されないのでしょう。情報公開の流れの中、自らの健康問題も公表しないといけない知事の仕事というのは大変なものであるなあと改めて感じた次第です。

石川知事の場合、早期歯肉癌だったようで、患部周囲を切除するだけで済むようです。報道によれば、昨日手術が終わっているはずですが、手術が功を奏し、体力が回復し、一日も早く公務に復帰できることを祈っております。


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