| 2007年08月23日(木) |
懐かしいスライド作り |
昨夜は診療が終わってからある先輩の歯医者の先生の歯科医院を訪問した歯医者そうさん。理由は、先輩先生が歯や口の健康について一般市民に講座をするためのお手伝いをするためでした。先輩先生はパソコンを使うことが苦手だったのですが、一念発起し、パソコンを使用して講座をすることを決心されました。僕は、先輩先生にパソコンを使ったプレゼンテーションの仕方を伝授するため、先輩先生の歯科医院を訪ねたわけです。 実際は、僕が診療の合間に先輩先生から預かった資料を電子化し、プレゼンテーションソフトで講演用のファイルを作り、このファイルをたたき台にして加筆、修正を加えながら講座用のファイルを仕上げていったわけです。
ある程度講座用のファイルが出来上がった時点で、先輩先生がふと言われました。
「それにしても便利になってものだなあ。一瞬にしてスライドの内容を変えることができるし、入れ替え、差し替えも自由。以前のようなスライド作りとは雲泥の差だね。」
僕も同じようなことを感じました。今ではテキストや写真、絵だけでなく、ビデオ映像も動画にし、プレゼンテーションソフトの元で再生することができますから。
先日、僕の手元に届いた某医療関係の学会雑誌を見てみると、学会発表の約束事の中にはプレゼンテーションソフトが入ったパソコンを持ち込むことが必須である記載がありました。 多くの先生がこれまでスライド保管に関し、スライドフォルダーが溜まる一方で保管場所に苦労していたのだが、今ではデータが全てパソコン管理できるので非常に楽になったと異口同音に指摘しています。
以前はそうではありませんでした。今から十数年前、僕は大学を卒業して大学院へ進んだのですが、最初にさせられた仕事の一つが先輩の先生の学会発表の準備でした。中でもスライド作りは大変骨の折れる仕事だったのです。文書の場合、ワープロで作成した文書を拡大コピーし、原版としました。当時のワープロは自由にフォントやサイズを変えることができなかったからです。また、表やグラフはグラフ用紙を利用し、太さの異なるサインペンやレタリングマシーンで作った文字を貼り付け、原版としました。これら原版を暗室でスライド用フィルムに撮影し、現像したフィルムを元に青焼きしたフィルムをスライドにマウントしたものです。 大学院2年目になると、この作業が一変しました。マッキントッシュ型パソコンの出現により自由にフォントやサイズを選択し、ギザギザ文字にならないアウトラインフォントを印刷することができるようになったのです。表やグラフも表計算ソフトやグラフ作成ソフトと熱転写型プリンターによりパソコンで作成できるようになりました。原版作りがパソコン一つできるようになったのです。 その後、プレゼンテーションソフトの普及とフィルムレコーダーにより、パソコンの画面を直接スライド用フィルムに撮影することができるようになり、これまでの青焼き一辺倒のスライドから背景がカラフルなスライド作りが可能となりました。 そして、パソコンとプロジェクター、そして、プレゼンテーションソフトの改良によりスライドそのものが不要となり、今やプレゼンテーションはパソコンとプロジェクターだけで行うことができるようになったのは多くの人が知るところです。この間、わずか十数年。
深夜、家路を急ぎながら、技術の進歩とその恩恵を受けていることを改めて感じた、歯医者そうさんでした。
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