歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年08月16日(木) 無料ではない専門家への相談

うちの歯科医院では昨日でお盆休みが終わり、今日から診療再開です。連日暑い日が続きますが、この暑さを凌ぐのはかえって冷房を利かせた診療室の方がいいかもしれません。それにしてもこの猛暑、いつまで続くのでしょう?

僕は歯医者を前面に押し出したサイトを開設しているため、見ず知らずの方から歯や口の健康に関することや歯科治療に関する相談を受けることがあります。これまで何度も書いていますが、僕はサイト上ではこのような相談にのることは基本的にはしないようにしています。実際に相談者の口や歯を見ていない状態で相談にのることは、僕の能力を越えているからで、きちんと診断し、適切なアドバイスをすることができないからです。
それでも、時としてメールや掲示板で相談をされる方がいます。本来なら、自分のモットーを理解してもらい、丁重にお断りすべきなのですが、せっかくメールや掲示板で書かれている方に対する遠慮もあり、原則論だけを書いて返事をするようにしています。

何度かそのようなことをしてきたのですが、最近になって感じたことがあります。それは、相談者があまりにも気軽な気分で相談されているのではないかという疑問です。
僕の個人的な考えですが、体の異常や治療に対する相談というのは、基本的に有料ではないかと思うのです。体に変調をきたせば、誰もが何か気になるもの。原因がすぐわかるものであればいいのですが、中には専門的な知識、経験がなければわからないこともあるのです。このような場合、その道の専門家が自らが得てきた知識、経験をもとに相談にのり、適切なアドバイスをすることは非常に有意義なことであると思うのですが、そのことに対する評価が世間では低すぎるのではないかと感じます。その道の専門家は、それなりに時間をかけ、自分に投資を行い、自己研鑽をしながら今の地位を得てきているのです。決して無駄に時間を過ごしてきたわけではありません。そんな専門家が相談にのるのです。いくら気軽に尋ねやすい雰囲気があるからといって、相談が無料であるということを前提であるというのは如何なものかと僕は思います。その道の専門家に相談にのってもらうからには、それなりの対価を払う必要があると思うのです。井戸端会議での相談事とはわけが違います。

よく、税理士や弁護士、医師、歯科医師などが無料相談ということで相談を受けることがありますが、この場合、相談者からは無料で相談にのることは確かです。ただ、実際に相談にのっている専門家はどうしているかといいますと、相談の場を設けている団体から相談を受けた時間分だけ給料をもらっているのです。僕が所属する歯科医師会もそうです。僕も立場上、市民に対して相談にのることがあるのですが、わずかながらも歯科医師会から費用弁償という形で給料を頂いています。この事実をどれくらいの人がご存知でしょうか?

解決を図るのに専門的な知識を要するような場合、専門家に気軽に相談することは有難いことだと多くの人が感じているのはよくわかるのですが、専門家に相談する気軽さにあぐらをかいている人が多すぎるように思います。
インターネット上での様々な相談サイトが流行しているのは、気軽に相談できるが故だと思うのですが、本来、専門家がかかわる相談というものは、決して無料ではないことを知って欲しいと思います。


 < 前日  表紙  翌日 >







そうさん メールはこちらから 掲示板

My追加