| 2007年08月15日(水) |
軍隊に行った者と行かなかった者 |
「皆さん、生きていますか?」 と言いたいぐらいの暑い日が続いております。正直言って、僕もこの暑さにかなりまいっております。今日までうちの歯科医院ではお盆休みですが、普段冷房の効いている診療所で仕事をしているせいか、冷房をしない自宅で暑い夏を過ごすのは非常につらいものです。そんなことを言っていると、炎天下で仕事をしている人たちには非常に申し訳なく思うのですが。
おそらく62年前の今日も暑い日だったのではないかと思います。昭和20年8月15日は、日本がポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争が終結した日です。このようなことを書きながら僕に実感がわかないのは、僕が戦後生まれだからです。戦争を知らない世代だからですが、昭和6年生まれの僕の親父にとっては特別な日のようです。普段、あまり話をしない親父ですが、8月15日に近くなると戦争のことを必ず口にします。先日もこのようなことを言っておりました。
「わしは太平洋戦争を体験したけど、軍隊には行っていないんだ。軍隊に行っている人と行っていない人との違いは大きいものなんだ。」
太平洋戦争が始まった当初、日本は戦争を有利に進めていましたが、終盤になると形勢が逆転。日本へアメリカ軍の飛行機が多数来襲し、空爆を行い、多くの人々が犠牲に合いました。広島、長崎には原子爆弾が投下されました。沖縄では地上戦が繰り広げられ、多くの人たちが自決に追い込まれたりしています。日本の国が焦土と化したのです。 親父が少年時代を過ごしていた大阪も空襲で被害を受け、毎日食べる物にも苦労をしたといいます。それでも、親父は言います。
「太平洋戦争当時、わしを含め周囲の人たちは、今の時代では想像がつかないくらいのつらい生活を過ごしてきたと思う。けれども、当時、軍隊に行った人はもっと残酷で悲惨だったはずだ。一定の年齢に達していた男は軍隊に行かなければならなかったんだ。その中には働き盛りの人や将来有望視されていた人が数多くいた。そんな人たちの多くが戦死し、帰らぬ人となったんだよ。残された者たちはつらい思いをしたとは思うけど、命というのはあってなんぼのもの。命が無くなったのでは何もできやしない。お国のために命を落としたというけれど、命が無ければ、この世で何かをなすことはできないんだよ。そんな軍隊に行った人に比べれば、わしの苦労なんて大したことはなかった。」
「戦争は二度と起きて欲しくない。今、世界中で紛争が絶えないけども、わしはそんなニュースを聴くたびに思う。どうして、人間って殺し合いが好きなんだろうと。日本でも誰かが“美しい国”なんてことを言って、憲法の改正を行おうとしているけども、今の日本の繁栄は憲法の制約によって成し遂げられたところがある。わしは、今の憲法のどこが悪いのかと疑問に思う。これから多くの人たちが徴兵され、軍隊の一員として戦場に駆り出されるようなことがあってはいけないし、そのようなことがないような世の中にすることが軍隊に行かなかったわしの使命だと思う。」
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