歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年07月10日(火) 医者や歯医者での冗談は止めて!

「本当に困ってしまいますよ。いい加減にして欲しいです。」

発言の主はうちの歯科医院の受付さんです。一体何事か?と思い尋ねてみると、どうもある患者さんから電話での予約のやり取りに原因があったようです。

「ある無断キャンセルされた患者さんが電話をかけてきたのですよ。予約をもう一度取りたいと。私の方がいつが都合が良いか尋ねたところ、『来年の8月頃にお願いします』と言われたのです。正直言って、私『来年の8月頃にお願いします』の意味がわかりせんでした。普通の予約の場合、1年以上後の予約を取ることはめったにありませんから。“本気でそのようなことを言っているのか?”、“何か仕事の都合で1年以上来院できないのか?”そのようなことを思っていながら少し沈黙があったのです。そうしたら、『すみません、ほんの冗談です』ですって。こちらは真剣に予約のことを考えていたのに冗談だというのは、何だか馬鹿にされたようで気分が良いものではないですよ!」

僕自身、普段から下らない冗談を言うのが決して嫌いではない方ですが、今回の患者さんの冗談というのは適切ではない冗談だと感じました。

歯科医院だけに限りませんが、他の診療所や病院といった医療機関は、非常にデリケートな場所だと言えます。病気を抱え、悩んでいる患者さんが多く来院し、治療を受けている場所だからです。
“何とか痛みを止めて欲しい”
“自分が苦しんでいる症状の原因が何か知りたい”
“今の健康状態を知るために検診を受けたい”
などなど、患者さんは皆一様に自分の体のことを真剣に悩み、考え医療機関を受診しているのです。
そのため、医療機関での電話のやり取りもそれなりに気を遣うものです。何か誤解があれば、その誤解により相互不信が生まれたり医療過誤が生じたりします。どんな些細な言葉のやり取りでも真剣にやり取りをしないといけない場が医療現場と言えるでしょう。
そのような場において、僕は冗談というのは如何なものかと思うのです。緊張の走る現場に少しでも気分転換を図る意味で冗談というのは必要なのかもしれませんが、患者さんの体を取り扱っているという現場の性格上、冗談やギャグを発するということは医者、歯医者をはじめとした医療スタッフも患者さんも遠慮する必要があると思うのです。

そこまで堅苦しく考えなくてもと思われる方もいるかもしれませんが、たとえ予約の電話であったとしても医療現場では真剣なやり取りの一つです。そこにいきなり親しくも無い人同士が冗談を言うと、大切な意思疎通がはかりにくくなります。場合によって相手を精神的に傷つけるようなことにもなりかねないのです。ただでさえ体のことでぴりぴりしている現場で不適切な発言が行われると、ちゃんとした医療行為に差し支えるもの。一事が万事で、何かの誤解を招くようなことが一つでもあると、そのことがきっかけでトンでもない医療事故が起こりかねません。

昨今、患者さんに対する医者、歯医者をはじめとした医療スタッフの言葉のやり取りが問題があるようなことが報じられることがありますが、患者さんの側も医療現場では、冗談とも本気ともわからないような言葉のやり取りは控えて欲しいと思います。


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