2007年07月05日(木) |
保険証の使いまわしは詐欺行為 |
日本では国民皆保険制度となって56年が過ぎています。 国民皆保険制度とは、日本国内に住所を有する全国民(および日本に1年以上在留資格のある外国人)が何らかの形で健康保険に加入する制度のことです。国民であるならば、誰もが何らかの健康保険組合に加入するか、もしくは生活保護による公的医療扶助を受けているはずです。 ところが、昨今の経済状況の悪化によるこの国民皆保険制度が崩れつつあります。生活の困窮から保険料を納付することができず保険証が発行されない人、そして、外国籍の人で不法就労している人などは保険証を持っていないケースが多いのです。
このような保険証を持っていない人が医療機関を受診する場合、かかる医療費は全額自己負担となりますが、保険証を持っていない人のほとんどは治療に要した治療費を支払う経済的余裕もないのが実情です。そのため、医療費の未払い問題が頻発しているのが実情で、今まで僕の日記でもそうした現状を何度と無く書いてきたのですが、先日、このような話を地元歯科医師会の先生と話をしていると、あることを注意されました。それは、保険証に書かれている名前と本人が一致しているかどうかをきちんと確認するようにということでした。
地元歯科医師会の先生の話によれば、最近、ある歯科医院で警察から問い合わせがあったとのこと。どういう問い合わせかというと、ある外国出身者で不法就労している人が警察に身柄を拘束されたそうなのですが、取調べでどうも複数の医療機関に通院していたことがわかったというのです。不法就労者であるが故、正式に発行された保険証は持っていない。それにもかかわらず複数の医療機関で堂々と保険診療を受けていたとのこと。警察での取調べにより、どうも仲間内で他人の保険証を使いまわしていたことがはっきりしてきたというのです。保険証で書かれていた人物を複数の人間が扮し、いくつもの医療機関で保険診療を受けていたようなのです。その医療機関の一つにある歯科医院があがったようで、どういった経緯で治療を受けていたから、捜査官が歯科医院に来院し、詳しい事情とカルテを照合していたとのこと。
一見すれば、保険証の使いまわしは弱者救済行為のように思えますが、実際はそうではありません。 保険組合は所属する多くの人たちの保険料によって成り立つもので、保険組合員同士の相互扶助、助け合い的な意味合いがあるものです。それを全く保険組合とは関係の無い他人がその保険組合の保険証を使うということは、保険組合員の掛け金を騙し取る行為、すなわち詐欺行為そのもので、決して許される行為でありません。 これまで多くの患者が来院する医療機関の窓口では、保険証を持ってきた人を本人確認するような厳密な確認作業はことはこれまで行われてきませんでした。お互いの暗黙の信用というものがあったはずなのですが、昨今の経済的困窮状況や海外からの不法就労者の間ではそうした信用を逆手に取り、何も言わなければわからないだろうということで堂々と保険証を使いまわしているようです。 こうした行為は以前から何度か聞いたことがありました。夜の世界で生きている人たちや堅気で無い人たちの中にこうした保険証を使いまわしして、治療を受けていたのがばれ、警察に拘束されたという話は聞いたことがあるのですが、最近は外国出身者の間でこうした保険証の使いまわしが頻繁に起きるようになったというのはご時勢なのでしょうか。何とも嘆かわしい事態だと言えるでしょう。
医療機関でも金融機関と同様に保険証と厳密な本人確認を行わないとできないような時代になりつつあるようです。何とも世知辛い世の中になってきたものだと思いますね。
|