歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年07月04日(水) お受験用修整写真

僕は不定期に“有名人口元チェック”と称して、世間で注目を浴びている人の口元を見てどんな歯をしているかどうかを取り上げています。有名人の口元はテレビ番組やニュースで流される映像や雑誌などで掲載される写真などを見て判定するわけですが、この作業、結構慎重にやっているつもりです。その理由の一つは、ネタ元になっている画像に修正がかけられている場合があるからです。

以前、僕は格闘家のボブ・サップの口元を紹介したのですが、後日、ボブ・サップが出演している某電化製品メーカーのコマーシャル映像を見て、僕はびっくりしました。
このコマーシャル映像では、ボブ・サップが大きな口を開けながら笑うというシーンがありました。その際、カメラワークが下から撮影した映像だったせいか、上の奥歯の方がはっきり見えたのですが、僕は思わず目を疑いました。本来、ボブ・サップの上の奥歯には、インレーと呼ばれる銀色の金属の詰め物が詰めてあるはずが、コマーシャルでは、その歯が真っ白になっていたからです。コマーシャル映像では、歯のインレーを白く修整したことを確信しました。

この手の画像の修正というのは、しょっちゅう行われているようです。ある雑誌関係の知人の話によれば、最近の写真や映像はデジタル化されているため、以前よりも簡単に写真の修整できるとのこと。顔の些細な傷やしわ、そばかすやほくろ、クマ、髪の毛の色なども自然な形で隠すことが可能なのだそうです。多くのファッション雑誌で写っているモデルの写真には必ずといっていいほど修整がかけられているとのこと。
こうなると、何が本来の姿か写真で判定するのかは難しいくらいになっています。

この手の修整写真、何もファッション雑誌に限ったことではないようです。先日、親父があるパンフレットを持って帰ってきたのですが、そのパンフレットを見て僕は、驚いたというべきか呆れたものです。それは、受験写真に関するものでした。

表紙に “お受験専用写真”と書いてあるパンフレットには、次のような殺し文句が。

写真は合格への第一歩です。

更に続きます。

添付する写真は、お子様を証明する物ですから写真での第一印象もやはり重要なポイントと言えるでしょう。

写真では、お子様の表情をいかに上手く出せるかが大きな要因です。


このように謳っているパンフレットには写真の修整例が掲載されていました。例えば、口元からわずかに見えた歯を消したり、目の下のクマや頬の傷を消去したり、髪の毛の色を黒くするといった例が掲載されていました。
まさしく、ファッション雑誌で行われていると言われているような写真の修整例です。

中学生以上の場合であれば、本人の学力を試験で調べ、一定以上の成績を取った者が入学を許可されるはずです。ところが、小学校や幼稚園のお受験の場合、ペーパーテストだけで合否の判定をするということはできません。合否の判定は本人の資質もあるでしょうが、それ以上に保護者で決まるといいます。
それ故にお受験をする子供を持つ保護者はかなり力が入るものですが、果たして子供の受験写真にまで手を加えないといけないものだろうかと思います。
小学校や幼稚園のお受験尾場合、面接がありますから、少なくとも写真だけで合否を判定するようなことはしないはず。そのことをわかっていれば、何も受験用写真を修整しなくてもいいのではないかと思うのですが、この手の写真の需要があるということは、少しでも他の受験生と差をつけたい、差別化したいという親の気持ちがあるということでしょう。受験生を持つ親の心理をたくみについた商売だと言えるでしょう。えらい時代になってきたものです。

ちなみに、僕が是非とも修整した写真を採用して欲しいと強く願うものがあります。それは、自動車免許証用写真。
自動車免許証更新の際、いつも僕が憂鬱なのは、自動車免許証に掲載される写真にろくな出来のものがないからです。
自動車免許証というのは単に自動車を運転する際、携帯するだけのものではありません。いろんな手続きを行う際、身分証明の代わりに用いられることが多いものです。自動車免許証のコピーを取られることが多いだけに、少しでもましに写っている写真の自動車免許証を持ちたいものですが、いつも警察の自動車免許更新センターで撮影される写真は、

“これが俺か!”
と言いたくなるようなひどい写真ばかり。何か犯罪を犯したかのような自分の惨めな写真と5年間も付き合わないかと思うと、自動車免許証の写真こそ修整をかけて欲しいと思わざるをえないのです。

このように感じるのは僕だけではないと思いますが、皆さん、如何でしょう?


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