2007年07月03日(火) |
どうしてアメリカ大リーグ選手はガムを噛むのか? |
かつて野球愛好家にとって夢の世界であったアメリカ大リーグでしたが、今や13人もの日本人大リーガーが活躍し、連日、マスコミでその活躍が報じられています。昨日も、アメリカ大リーグオールスター戦の選手発表がありましたが、シアトルマリナーズのイチロー選手とロスアンゼルスドジャースの斎藤隆投手の二人が選ばれました。日本人にとってより身近になったアメリカ大リーグだと言えるでしょう。
そんなアメリカ大リーグの試合を見ていて気がつくことは、ほとんどの選手がガムを噛みながらプレーをしていることです。日本のプロ野球ではほとんど見かけない光景ですが、アメリカ大リーグでは以前からガムを噛みながらプレーしているようです。どうして、大リーガーたちはガムを噛みながらプレーしているのだろう? こういった疑問を持っている人は一人や二人ではないでしょう。
現在、ガムを噛むことによる運動能力向上に関する研究は、多くの多くの研究者たちによって報告されています。今わかっていることは
・ガムに含まれる香りや味覚による心理学的効果 ・ガムを噛むことによる脳内血流の増加 ・ガムを噛むことによる脳のヘモグロビン量の増加 ・ガムを噛むことによる交感神経、副交感神経の機能アップ ・ガムを噛むことによる下肢筋力の増強 ・ガムを噛むことによる咀嚼能力の亢進 などがわかっています。
先日、ある歯科関係の学会誌を見ていると、興味深い記事が掲載されていました。それは、ダーツに関する記事で、ガムを噛みながらダーツをする人とガムを噛まないでダーツをする人たちの結果を比較すると、結果および咬合力、握力、背筋力がガムを噛む方が噛まない方よりも統計学的に有意に差が出たのだとか。すなわち、ガムを噛みながらダーツをする方が身体能力が向上し、結果的に成績もよかったという結果が出ているそうです。 ダーツのように競技中、集中力が要求され、誰にでも簡単に行えるポピュラーな競技でこのような結果が得られたことは、他の多くのスポーツにおいても同様のことが言えるのではないかということが指摘されたというのです。
ただし、このことでガムを噛むことが運動能力につながるのだと結論付けることは時期尚早のようです。まだ基礎的な実験結果と実際の臨床データとの関連が不透明で、これからの研究課題であるのだとか。ガムを噛むことによるスポーツ運動能力の効果は、まだ科学的に研究途上であり、完全には証明されていないのが実情のようです。
ただし、ガムを噛むことによる運動能力向上は、多くのスポーツ選手が気がついているようで、その代表例の一つがアメリカ大リーグでプレーする大リーガーだと言えるでしょう。彼らは経験的に自分たちの運動能力がガムを噛むことにより向上することを知っており、そのため、試合中はガムを噛みながらプレーしているように思えます。
日本人から見れば、ガムを噛みながらプレーをする大リーガーというのは品が無いように思いがちですが、スポーツ歯学の分野の研究では、少しずつガムを噛むことによる運動能力の向上が証明されつつあるようです。噛むという行為は食事に無くてはならない行為ではありますが、単に食事だけでなく、運動能力に与える影響もかなりのものがあることが言えそうですね。
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