2007年06月30日(土) |
歯科医院の地下に埋まっていた物とは? |
うちの歯科医院は今から35年前親父が開業をしたのですが、最初に開業をしたのは現在の地ではありませんでした。僕の生まれ故郷である某市でした。当時の自宅の一部を改造し、歯科医院として開業したのです。某市でのうちの歯科医院は5年で終わり、諸事情により今の地に移ったのです。今の地に移転して既に30年。光陰矢のごとしといいますが、時間の経過するのは早いものです。
先日、ある親戚が我が家を訪れました。その親戚は僕が生まれた家と歯科医院跡に住んでいるのですが、この度、住居が古くなったということで、今風に言えばリハウスとうのでしょうか、住居を全て壊し、土台から立て直そうということになったのだとか。 ところが、ここで思いもしなかったことが起こりました。それは、土台を作ろうと地中深く掘削していると、石器が出土したそうなのです。
昔の遺跡や出土品が見つかった場合、文化財保護法により教育委員会に届けなければならないそうで、その結果、工事の予定が当初より数ヶ月遅くなったのだそうです。すなわち、地中からの出土品のおかげで数ヶ月もの間、工事を中断せざるをえなくなったのだとか。
僕の生まれた某市には全国にも名前の通った○○遺跡があります。○○遺跡は弥生時代の遺構や墓の跡などが見つかった遺跡なのですが、僕の生家もその○○遺跡からさほど遠くない所にあります。地中を掘ってみると○○遺跡から出されるような出土品が出てきても不思議ではありません。
このような話は、何もうちに限った話ではないようです。僕の母校である某歯科大学では、校舎を新築する際、基礎工事を行っている最中に安土桃山時代のものと思われる出土品が見つかり、そのため、工期が1年以上延びてしまったという話です。ただでさえ予算が厳しい中、思わぬ掘り出し物のために工期が延びてしまったことに大学関係者は頭を抱えていたという話を伝え聞いたことがあります。
よくよく考えてみれば、どこの土地でも地中深く掘れば何らかの出土品が出てきても不思議ではありません。これまで何千年と数多くの人たちが栄枯盛衰を繰り返してきた日本の国です。当時栄華を極めていた人たちが暮らしていた社会がいつの間にか時代から姿を消すとともに、当時の住居、社会インフラなどが地中に埋まってしまうようなことは決して珍しいことではないでしょう。時代を経て何も知らない人々がいにしえの時代の住居跡に家を建てたとしても、仕方がないことかもしれません。
地中からいつの時代かの出土品が出てくるということは、マニアにとっては何とも夢のある話かもしれませんが、工事を行っている当事者にとっては何ともはた迷惑な話のようです。
ちなみに、今僕が開業している歯科医院は、かつて栗が一面に生えている栗畑だったそうです。
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