歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年06月26日(火) 汗かきな人たちの悩み

当初、雨不足、空梅雨ではないかと梅雨ですが、当地ではそれなりに雨が降り、湿気もかなり感じている今日この頃です。既に夏至も過ぎたことですし、これから気温は益々上昇し、室内では冷房無しでは何もできない時期になってくるでしょう。環境省では今年も室内の温度を28度にして欲しいというクール・ビズ運動を繰り広げていますが、この室温28度というのはかなりの高い温度です。果たして、どれくらいの人がこのクール・ビズを守れるでしょう?

既にうちの歯科医院でも昼間の診療では冷房を入れ始めています。冷房を入れないと診療する歯医者としても仕事がしにくいのです。特に、問題なのが手。患者さん毎に使い捨てグローブを使い捨てしているのですが、冷房が入っていても自らの体温の高さと室温の高さ、そして、患者さんから発散される体温によりグローブの中の術者の手は蒸し風呂状態といっていいでしょう。患者さんの治療が終わり、使用したグローブを脱いだ時にはグローブの中は汗びっしょりです。時には治療中、グローブの袖から汗が滴り落ちるようなこともあるのは閉口します。

一方、汗をかくのは何も歯医者だけではありません。患者さん側も汗をかかれます。患者さんにもよるのですが、中でも体格が大きい人の場合、治療中にそれなりの汗をかかれます。診療が終わり、退室された後の診療台を見てみると、ヘッドレストのカバーには汗が浮かび上がり、濡れているのです。それだけではありません。診療台の背の部分も色が濃くなっていることもあるのです。これは、体温の放熱による湿気が診療台の背の部分に影響したためなのですが、中にはシャツからにじみ出た汗の一部が浮かびあがっていることさえあります。次に治療する患者さんの迷惑にならないよう、患者さんの入退室のほんの少しの合間にヘッドレストのカバーや汗で濡れている診療台はきれいに拭き取っているのですが、それでも、患者さんによっては

「今日の診療台は妙に熱いですなあ」
と言われる方もあるくらいです。

そんな話を地元歯科医師会の仲間の先生と話をしていると、歯科医院内の室温をどれくらいするかという話題になりました。

ある先生は、
「クール・ビズみたいに室温を28度にするというのは、歯科医院では難しいのじゃないの?僕のところは、25度ぐらいにしているよ。そうしないと患者さんも僕たちも耐えられないよ。」

「そうですよね。我々歯医者は人様の口の中に手を突っ込んで仕事をしますから、自分の体温のみならず患者さんの体温もまともに受けて仕事をしますからね。28度という設定温度は酷ですね。」

この話の中に割って入ってきたのが、M先生でした。

「うちでは室温を19度くらいにしていますよ。」
周囲の先生は皆一様に驚きました。

「19度ですって?それはかなり室温が低すぎるのじゃないの?患者さんやスタッフから寒いって言われない?」
「ええ、そう言われますが、僕はこの温度が適温なのです。僕の体型を見られれば納得されるんじゃないですか。患者さんやスタッフには申し訳ないとは思いながらも、夏場は冷房をかなり効かせて診療をしているんです。そうしないと、僕の体からは汗が滝のように落ちてきて、患者さんやスタッフに多大な迷惑をかけるのが目に見えていますから。」

M先生は若い頃、相撲をやっていたというだけあって、かなり恰幅のある先生で、体重が100キロに近い巨漢です。

「何もこれは自分の診療所だけの問題じゃないのですよ。自宅でも言えることです。夏場は自宅でも冷房を効かせているのですが、特に寝室では他の部屋以上に冷房を効かせています。結婚当初、僕は家内と一緒に寝ていたのですけど、僕がかなりの汗かき、暑がりですから、夏場は冷房をかなり効かせないと熟睡できないのです。ところが、家内は僕とは全く逆で冷え性なのです。冷房を入れながら眠ろうとしても寒くて眠れないと言います。僕ら夫婦は全く相容れない体質ですから、今では家内とは寝室を別にしていますよ。」

汗かきの人にとっては、夏場を過ごすことは想像以上に大変なことのようです。


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