2007年05月25日(金) |
食間とは食事中のことではない! |
歯医者では医者ほどではないにせよ、患者さんに対して薬を出すことがあります。歯肉が腫れたり、歯痛が生じたり、抜歯や切開で膿を出したりした時には、必ずといっていいほど薬が処方されます。
皆さん、既によくご存知のことだとは思うのですが、薬には飲み方が決められています。一日に何回、どれくらいの量を飲まないといけないのか、頓服のように必要な時に飲むべきなのか、内服なのか外用なのか等々、かなり細かく決められているものです。 医者も歯医者も薬の飲み方に関しては患者さんに対してきちんと説明する義務がありますし、説明しているはずです。 また、周囲の医療スタッフからも説明がなされているはずですし、薬を調剤する薬剤師からも説明がなされ、薬の使用法に関し、説明書も渡されているはずです。このように手を変え、品を変えながら患者さんに薬のことを説明し患者さんに薬のことを理解してもらうことを、業界用語でコンプライアンスと言います。 コンプライアンス(compliance)を英和辞典で調べてみると、“要求や希望に沿うこと”、“承諾”などの意味がかかれてありますが、薬の処方に関しては薬の情報を患者さんに的確に伝え、薬を正しく服用してもらうことを受け入れ、実行してもらうことが、まさにコンプライアンスなのです。
ところが、医療側で念には念を入れているつもりでも、実際の患者さんの受け止め方が異なる場合があるのです。
「食間って食事中のことだと思っていました。」
これはある患者さんの一言です。 上記の食間の意味は、食事と食事の間という意味です。朝食と昼食の間、昼食と夕食の間といったような意味です。ところが、患者さんによっては食間というのは、食事中という意味で解釈している人がいるのです。 すなわち、ご飯を一口食べ、薬を飲み、そして、ご飯を食べ続ける。このような薬の飲み方を食間と勘違いされていたのです。 “そんな馬鹿なことあるだろうか?”と思われ方もいるでしょうが、この手の勘違い、結構あるものなのです。 有名なところでは、坐薬を座って口から飲む薬だと勘違いしている方。 薬のパッケージとなる袋を開けずにそのまま飲んでしまう方。就寝前に服用となっている薬を昼寝前にも飲んでしまう方。
また、症状が消えたので自主的に薬の服用を止められた患者さん、減量してしまう患者さん。食前服用の薬を食後に飲んでしまう患者さんなどいます。
薬を処方する医療側は何回も患者さんに薬のことを説明しているはずなのですが、患者さんの勘違いや思い込み、勝手な解釈によって正しく服用されていないケースがあります。 つくづく、医療情報の正確な伝達の難しさを感じます。
薬の飲み方を間違えてしまうと、薬の種類によってはかえって症状が悪化し、せっかく治りかけた病がこじれてしまうケースがあるのです。これは非常に怖いことです。場合によっては命の危機に瀕することもありうるのです。
どうか、読者の皆さんにおかれましては、薬の服用に関しては担当医の説明をしっかりと聞き、疑問のある点はきちんと正し、正確に服用してほしいと思います。
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