2007年05月02日(水) |
矯正治療中の抜歯は保険が利きません! |
先日、ある患者さんが来院しました。その患者さんは歯の矯正治療を希望されてうちの歯科医院に来院された患者さんでした。 うちの歯科医院では、歯の矯正治療は行いません。行わないというのは正確ではありません。行うことができないのです。
僕自身、歯の矯正治療について、歯医者としてある程度のことはしっていますが、実際の治療となると別問題です。それなりのトレーニングと経験が必要となってきます。僕はこれまで矯正治療に関する技術を学び、実践してきませんでした。 言い訳になるとは思うのですが、歯の矯正治療というのは歯科の中でもかなり特殊な分野になります。歯を削ったり、むし歯を治したり、抜歯をしたり、歯磨き指導をすることといった治療とは異なり、歯を移動させ歯並び、噛み合わせを治す矯正治療は一線を画している治療なのです。そんな矯正治療を行うには、矯正治療に専念しなければ矯正治療をマスターできない側面があるのです。中には通常の歯の治療と歯の矯正治療をこなすことができる歯医者もいますが、少なくとも僕は歯の矯正治療を行う自信がありません。 そのため、僕は歯の矯正治療が必要と思われる患者さんには、懇意にしている矯正治療専門医を紹介し、治療を受けてもらうことにしているのです。
今回の患者さんも僕が紹介をした矯正治療専門医の元で治療を受けていたのですが、その矯正治療専門医からの手紙を携えて来院したのでした。 手紙の内容は抜歯依頼でした。歯の矯正治療を行うために、何本かの特定の歯の抜歯をお願いしたいという内容でした。そして、文面の最後には以下のようなことが書かれてありました。
なお、患者には抜歯には保険が利かず、治療にかかる費用は全額自費扱いであることを説明し、納得してもらっています。
“抜歯は保険の適用になるのじゃないか?“ と思われる方が多いかもしれません。確かに、むし歯や歯周病などに侵され、保存することができない歯を抜歯する時は保険が利きます。ところが、一連の矯正治療の一環としての抜歯は保険が利かないのです。
ご存知の方も多いとは思いますが、歯の矯正治療は基本的には保険が利きません。特に、審美を目的とした歯の矯正治療は自費治療となります。矯正治療の中の全ての処置にかかる費用が自費扱い、全額患者負担となるのです。 実は、矯正治療には単に歯を移動させることだけではなく、歯を動かすスペースと作るための抜歯も含まれるのです。すなわち、矯正治療における抜歯処置も保険が利かず、自費扱いとなるのです。
僕は患者さんに抜歯のことを説明した際、抜歯にかかる治療費が自費扱いになることを説明しました。患者さんは既に矯正治療担当医からも十分に話を聞いていたようで、僕の言うことも直ちに納得されておられていました。
この日記をお読みの皆さんには、通常の矯正治療における抜歯処置は、保険が利かないことを理解してほしいと思います。
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