歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年04月26日(木) あの美人歯科医 ついに脱いだ?!

先日、何気なく新聞の雑誌広告欄を見ていると、思わぬタイトルに目が行ってしまいました。

“あの美人歯科医 ついに脱いだ”

正直言いまして、僕も野郎の端くれです。雑誌グラビアに出ている女性アイドルや女優に興味がないなんてことは絶対にありえません。しかも、今回僕が目にしたのは僕と同じ同業の女性歯医者のグラビアだというのです。これは一度見てみないといけない!僕が本屋へ走ったのは言うまでもありません。

見てみました。
どこかで見たことがあるなあという女性歯医者でした。グラビア写真と共に書いてあった文面を見てみると、既にいくつかのテレビ番組に出演しているとのこと。今年、31歳になるこの女性歯医者は東京銀座の某歯科医院の副院長で予防歯科が専門とのこと。仕事の合間に芸能活動を行っているそうですが、この4月からは更に芸能活動に力を入れるということのようです。

僕は思わず考え込んでしまいました。
現在、日本全国には歯医者が10万人近くいます。10万人いる歯医者が全て歯科の仕事をしているかというそうではないのですが、この女性歯科医のように芸能活動をし、雑誌のグラビアまで出るようなケースは珍しいです。
歯医者が本来の仕事以外の仕事をしてはいけないという決まりはどこにもありません。極端な話、歯医者の免許を持っていても歯医者をしなくてもいいのです。僕の知っている限り、患者さんの治療は一切行わず、大学で研究活動に勤しんでいる歯医者は何人もいます。また、会社を設立し、ビジネスマンとして活躍している歯医者もいれば、政治家として活動している歯医者もいます。今回の女性歯医者のようにグラビアに出ても誰も文句はいえないわけです。

しかしながら、僕が気になったのは、グラビアのタイトルに書いてあった“女性歯医者”という文字です。少なくとも、グラビアに出ていた女性は歯医者を前面に押し出しているわけです。世間ではお堅いイメージの歯医者、しかも、女性歯医者がグラビアに出ているという意外性で売り出していることは確かなことだと思います。女性歯医者もそのことは十分承知で、自分を芸能界へ売り出していることでしょう。
僕はそのことを否定はしませんが、その反面、腑に落ちないところがあるのです。それは、この女性歯医者が歯医者のイメージをどのように考えているのだろうかということです。

どんな職種でもそうだと思いますが、全く同じ個性の人はいないものです。歯医者もそうで、いろんな個性の人がいますが、その一方で人々が持っている歯医者のイメージというものは、特定の歯医者によって決められてしまう宿命があります。自分が世話になった歯医者が素晴らしい歯医者であれば、その人にとって歯医者のイメージは良いものになるでしょうが、反対にトンでもない歯医者に巡り合えば、その人にとって歯医者のイメージは良くないものになるでしょう。一人の歯医者が歯科界全体の評判を決めてしまう可能性があるのです。そういった意味で、歯医者は一人一人が歯科の代表としての意識を常に持っておかなくてはならないと僕は思うのです。

そんな思いがある僕からすれば、果たして今回雑誌グラビアに写真が載った女性歯科医にこの意識があるのかどうか疑問に感じるのです。自分が歯医者であることを前面に出した結果、世間で歯医者に対するイメージがどう反映されるのか、真剣に考えているのだろうか疑問に感じざるをえません。

歯医者というと、怖いイメージ、できるだけ避けたいイメージが未だに強いと思います。そんなイメージを払拭するという点では、この女性歯医者は貢献しているのかもしれません。その一方で、歯医者は人様の体、口の中を治療しなければいけない立場でもあります。雑誌というメディアで肌を露出させるような歯医者が果たして人様の口の中を治療することができるのか?そんな不安を持つ人が出てこないのだろうかとも思うのです。

同じ歯医者として、いろんな個性の歯医者がいることは歓迎すべきことではあるのですが、それにしても白衣を脱いで雑誌に露出する女性歯医者まで出てくるようになるとは予想もしませんでした。時代は変わるものですね。


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