2007年04月20日(金) |
予約時間を守れない患者 |
人々が暮らしている社会では最低限のマナーというものがあると思いますが、約束の時間を守るということもそんなマナーの一つであることは誰もが異論の無いところでしょう。約束の時間を守る、守れないということは相手に対する信頼感のバロメーターになると言っても過言ではないと思います。
約束の時間を守るということでは医療機関でも同じであるはずですが、約束の時間である予約時間を過ぎても自分の診察の順番が回ってこないことが多いもの。 中でも多くの患者さんが集中する大きな病院で待ち時間3時間、診察時間3分などと批判があることも事実です。 患者さんの立場からすれば、せっかく時間を作って来院している。予約を取っているにも関わらず予約時間を守らないのはルール違反だ。そのようなことを感じている方が多いと聞きます。しかも、長時間待っているにも関わらずちょっとしか診てもらえないとなるとその不満は更に大きなものになることでしょう。 気持ちはわからないでもないのですが、診療している側からすれば、明らかに自分の診察、診療能力を越えた数の患者さんが来院していることが多いのです。そのため、一人一人の患者さんに時間を割くことができない現実。治療する側もつらいものなのです。
予約時間に関しては、歯科医院でも同様の悩みを抱えているもの。 多くの歯科医院では予約制を取っています。歯科の場合、他の内科などと異なり、必ずといっていいほど処置を伴います。患者さんの問診をし、検査をして、薬を出すといったことだけではなく、多くの場合、歯を削って詰めたり、歯型を取ったり、抜歯をしたりなど処置が伴うのです。予約制を取っている歯科医院では、一人当たりの治療時間を決めておき、一日の診療時間中にいくつかの治療時間を前もって取っておくのです。そうすることで、一人の患者さんに治療計画に基づいてきちんと治療できるための時間を確保するのです。 これがうまくいけばいいのですが、以前にも書いたように歯科医院には急に歯が痛くなった、腫れた、入れ歯が割れたなどといった急患の患者さんが来院します。そういった患者さんの治療も歯医者にとっては大切な仕事の一つなのですが、予約制をとっているとどうしても先に予約を取っていた患者さんの治療の合間に治療をせざるをえません。せっかく予約時間に合わせて歯科医院に来院してくれた患者さんに迷惑をかけざるをえないのです。こちらとしては非常に心苦しいことではあるのですが、急患の患者さん治療には対応するのがいつも大変なものなのです。
患者さんが長時間待つということは医療機関の対応に原因があるようなことがマスコミなどで報じられることが多いのですが、逆に治療をする側が患者さんに振り回されるということも意外と多いものなのです。その代表例が予約時間を守らない患者さんです。
予約時間になっているにも関わらず一向に姿を見せない患者さん。事前に登録してもらっている連絡先に電話をかけたところ、予約時間を忘れてしまっていた、仕事で出かけてしまった後、他用が入ったなどという返事。 治療する側としてはその患者さんのために治療時間を取っていたにも関わらず、それが無駄になってしまうということは大きな損害でもあります。時間だけではありません。電気代、ガス代、人件費など本来予約患者のためにかかる諸経費が無駄になり、損害を被ることになります。
まだ、事前に連絡してこられる患者さんはいいとは思いますが、それでも診療当日になって急に来られなくなったという電話も困りものです。前日までであれば何とか他の患者さんをその時間枠にまわすような段取りを組みなおすことも可能なのですが、当日ともなるとそれが難しい。もちろん、当日になってから避けられない用事が入り、やむを得ず予約をキャンセルせざるを得ない場合もあるでしょう。それは仕方のないことではあるとは思うのですが、歯医者の本音としては予約の変更はできるなら前日までして欲しいものだと思うのです。
予約時間を遅れて来院される方も対応に苦慮します。他の予約枠の患者さんとの兼ね合いが非常に難しくなります。あまり大きな声ではいえませんが、そういった場合、僕ならば、10の処置をする予定だったところ、2しかしないといったようなことをせざるをえません。 それから、予約時間があるにも関わらず予約時間を無視して来院される患者さんも困りものです。
「今日は11時の予約だったんですが、急に用事が入りまして、9時に診てもらえないかと思いまして早く来ました。」
事前に連絡があるのでしたら、予約の患者さんに断りを入れて予約時間の変更もしなくもないのですが、いきなりこのようなことを申し出られてもこちらとしてはどうしようもありません。自分の都合で来られてもこちらとして対処のしようがない場合もあるのです。 予約をしている患者さんの治療時間に余裕がある場合でしたら、急患の患者さんのような扱いで予約枠の間で治療をすることも可能ですが、それができない場合は、別の日に予約を取って引き取って頂く場合もあります。
かつて、上記のようなケースで患者さんに予約していた時間よりも早く治療ができないことを伝えた際、
「お前ところは、患者の希望も聞き入れられないというのか!」 と受付で怒鳴り声を上げられた患者さんもいました。こちらとしては事情を理解してもらうしか仕方なく、何度も事情を説明したのですが、怒りは収まらなかったようで、その患者さんは二度とうちの歯科医院には来院しませんでした。 うちの歯科医院側の対応にも問題がなかったとは言えませんが、どう考えても予約日当日、患者さんの自分勝手な都合に歯科医院が合わせられなかったことが果たして歯科医院に落ち度があるのか?僕は未だにその問題に明確な答えを出すことが出来ません。
いずれによせ、この日記を読んでいる読者の皆さんには、予約制の歯科医院を訪れる際には、予約時間は正しく守ってほしいと願っております。
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