歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年04月11日(水) 兄弟同士が同じ職場で働くことの難しさ

先週末、弟夫婦が我が家にやって来ました。これまで救急病院勤務で忙しく仕事をしている弟ですが、この4月から大学から新たに専門医が何人か派遣されてきたそうで、過労気味だった仕事がが少しは楽になるかもしれないということを言っておりました。

そんな過労の弟と話していると、美容室の話が話題にあがりました。
弟は先日まである美容室に通っていたのですが、最近になって美容室を変えたというのです。その訳を訊いていみると

「僕がいつもカットをしてもらっていた担当者がいなくなったからなんだよ」
とのこと。
このような話はよくあることだと思います。自分のお気に入りの美容師さんが店から独立したり、他の店に移ったりしてなじみのお客さんも一緒についていくなんて話はよくある話ですから。
更に話を詳しく聞いてみると、事情は複雑だったようです。

「いつも通っていた美容室は兄弟が一緒に仕事をしていたみたい。僕はいつも弟さんに担当してもらっていたんだよ。最近になって、兄弟同士何か問題が起こったみたいで、僕がいつも髪の毛をカットしてもらっていた弟の方が美容室を出て行ったらしい。先月、僕がその美容室に行った時には既に弟さんの姿はなかったんだ。」

「仕方なく兄貴の方にカットしてもらったんだけど、これがひどくてね。こちらがいろいろと注文をつけると、しぶしぶし直す始末。やる気がないのかしらないけど、お客さんに対する態度がなっていないよ。こんな所は二度と行きたくなくなってね。違う美容室へ移ったというわけ。」

兄弟同士が同じ職場で働くことの難しさ。

現在、僕は歯医者、弟は医者として仕事をしていますが、もし、弟が僕と同じ歯医者の道を歩んでいたなら、僕が弟を見る目は今のものとは確実に異なっていると言えるでしょう。その理由は、どうしても、同じ業界のライバルとしての見方が入ってくるからです。お互いにうまくいっている間はいいのですが、どちらかの仕事が上手くいかなくなった場合、ねたみ、嫉妬が感情に入り、冷静に話をし合うことができなくなってしまいそうでなりません。ましてや同じ職場で働くとなると、いつ何時不仲になるか心配でなりません。

僕と弟は仲が悪いわけではありません。むしろ良い方ではないかと思うのですが、もし、僕と弟が同じ歯医者であったなら、同じ職種の魔の手とでもいったものに導かれ、感情的な衝突が避けられない可能性があることは非常に怖いことです。
京都の某カバンメーカーではありませんが、如何なる事情があったとはいえ兄弟が同じ道を歩むと、場合によっては骨肉相食む争いとなる場合さえあるものです。

幸い、弟は僕とは違った医者、循環器内科医として仕事をしています。弟とはよく仕事の話をするのですが、お互いの仕事が違った領域の仕事であるため、冷静に話ができることは有難いと感じています。

誰でも専門職として知識、技術、経験を積むと、仕事に対してそれなりのこだわり、誇りというものが芽生えてきます。このこと事態はプロとして自然なことだと思うのですが、一人で仕事をしている立場ならまだしも、何人もの人と一緒に仕事をしていくと、あまりにも自分の道を追求しすぎると、周囲と感情的な衝突、摩擦といったものが生じやすくなります。

ましてや、同じ職場に同じ仕事をしている兄弟がいれば、兄弟があるが故に意識せざるをえない状況になるのは自然のことだと思います。しかも、どちらかが職場の経営者である場合、兄弟の場合は兄が経営者である場合が多いのですが、お互いのプライド同士がぶつかり合い、感情的になりやすい。その結果、仕事場の雰囲気が険悪となり、修復できないレベルにまで達してしまうのではないかと思うのです。

歯医者の中には、兄弟が歯医者である人たちが少なからずいます。僕としては、うまくやれているものだなあと思うのですが、少なくとも、兄弟が同じ診療所で仕事をしているケースはほとんどありません。それぞれが別々の歯科医院を経営し、仕事をしています。数少ないケースで同じ歯科医院で兄弟が歯医者で仕事をしている方がいますが、その兄弟は一人が矯正歯科の専門医、もう一人が一般歯科医として働いています。お互いの仕事に干渉しないような形を取っておられていますね。

兄弟が同じ屋根の下、同じ職種で仕事をしていくには、余程の気配りが必要ではないかと思います。兄弟間で同じ職場で上手く仕事を務めている方はどんな気配りをしているのでしょう?そうした方の話を聞いてみたいものです。


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