2007年02月09日(金) |
既に老眼が始まっている? |
日常生活を過ごすに当たり、目で物を見ることは非常に大切なことです。目から得られる様々な情報を脳の中で処理し、行動するのが人間なのは言うまでもありません。読者の皆さんが僕の駄文日記を読むことができるのも、皆さんの目があるからですね。
仕事においても目が果たす役割は際限なく大きなものです。何を書くのか、何をつかもうとしているのか、何を取ろうとしているのか、何を操作しようとしても、目を使うことは必要不可欠なことであるはずです。 医療の世界では、目が見えないと仕事になりません。歯医者稼業もそうで、口や歯、歯肉、粘膜などが目で見えないと診査、診断できませんし、治療を行うこともできません。歯医者にとって目が見えること、視力の問題は死活問題なのです。
先日、歯医者仲間同士で話をしていると、視力のことが話題にあがりました。口の中を診て、治療するにはかなりの照度の光を使用しないといけません。歯の治療では室内の蛍光灯の光だけでは十分に口の中を診るには暗すぎます。そこで、室内の蛍光灯以外に各診療台には必ず口腔内を照らすライトが常備されています。このライト、照度が3000ルクスと言われています。一般の生活で必要とされる照度は100〜300ルクスと言われていますから、如何に歯医者が明るい光のもと、目を酷使しているかわかるというものです。
多くの歯医者は午前と午後の診療の合間に休憩を入れますが、その際、目をつぶる歯医者が多いのです。その理由の一つは酷使している目を休ませる意味があるのです。かくいう僕もそうで、昼休憩の間は、わずかな時間でも目をつぶり、目を休ませるように心がけています。
ところで、40歳代の人が必ず経験することの一つに老眼があります。これまで焦点があって十分に見えていた範囲が急に見えなくなる。視野を遠くすると焦点が合い、見えるようになる。これがまさしく老眼なのですが、歯医者も例外ではなく、老眼の対策に苦労しています。 ある先輩の先生曰く
「そうさん先生は40歳だったね。先生も既に老眼が始まっているよ。老眼って30歳代の後半から始まっているものなのだよ。本人が気がついていないだけでね。眼鏡を取って以前よりも見えやすくなるようなことがあれば、それは老眼の兆候だよ。」
僕は思い当たることがありました。 「実は、僕は数年に一度眼鏡のレンズを交換しているのですが、昨年が交換の年だったのですよ。懇意にしている眼鏡屋さんに視力を測ってもらったのですが、『視力が改善していますね』と言われ、以前のレンズよりもやや弱いものと交換したんですよ。」 「それは、眼鏡屋さんが気を利かしてくれた証拠だよ。本人に対して『老眼が始まりましたね』なんてなかなか言えないものだよ。眼鏡屋さんは事実を知っているものの、表現をぼかしてレンズをそうさん先生の現状にあったものを選び、調整してくれたんだよ。」
老眼になった場合、歯の治療をどうすればよいか?ということで話題にあがったのがこれでした。 これは拡大鏡と呼ばれるもので、元々は脳外科医や心臓外科医が手術などで微細な部分を処置したり、血管縫合する際に用いられていたものです。これを歯科にも準用したものなのです。裸眼で見るよりも手元が拡大され、クリアに見る事ができます。 実は、僕もこの拡大鏡を数年前から使用しています。常時使用しているわけではないのですが、細かい部分を削ったり、仕上げをしようとした時に細部を確認するのに役立っています。当初、この拡大鏡を利用しようとするのは抵抗感がありましたが、実際に使用してみると裸眼で見えなかった微細な部分を確認することができ、一種の感動を覚えました。それ以降、使用しているわけですが、老眼が進んでくるとこの拡大鏡を使用する頻度が増えてくるとのこと。仕方のないことかもしれません。高齢歯医者の宿命かもしれません。
とにもかくにも、既に老眼が始まっている可能性が極めて高い歯医者そうさん。寄る年波には勝てないということでしょうか?それは悲しすぎる!
|