2006年12月05日(火) |
歯の変色、着色について その2 |
歯の表面はエナメル質と呼ばれる硬い組織で覆われています。このエナメル質の硬さはダイヤモンド並みなのですが、実際に顕微鏡で観察してみると無数の凹凸があります。特に、生えたばかりの乳歯や永久歯の場合、歯が未熟であるがゆえに凹凸の度合いが高いと言えるでしょう。特に、乳歯の場合はそのような傾向が強く、乳歯に着色が見られるケースが意外と多かったりします。 また、不適切な歯磨きの仕方をしていると歯の表面に微小な傷が生じます。一生懸命磨いているがあまり、力強く、同じ場所を強引に磨きつけると、歯の表面には無数の傷が生じます。また、歯ブラシの毛先が広がったような歯ブラシの場合、特定の歯磨き粉を使用して歯磨きをし続けていたような場合も同様のことが起こります。 某社の歯磨き粉などは歯のヤニをとることを謳い文句にしているのですが、この歯磨き粉を使用して歯磨きをし続けていた歯は、ヤニどころか歯そのものも派手に削れているような場合があります。 このような状況の下で歯に凹凸や傷があると、着色しやすくなるのです。
着色しやすい飲食物、医薬品というものも存在します。 例えば、お茶やワインなどをよく飲む人は歯が着色しやすい人がいます。これはお茶やワインに含まれるポリフェノールと呼ばれる成分が歯に付着しやすい物性を持っているために起こる現象です。 他にもイオウ成分が多く含まれるネギやにんにく、特定のビタミンの摂取により歯が着色することがあるのです。 それから、タバコのヤニです。タバコの中に含まれるタールが歯に付着し歯が汚れることは広く知られていますね。 クロルヘキシジンやフッ化第一スズと呼ばれる消毒薬も歯に着色することがあります。これら薬物は口の中の消毒薬として歯周病やむし歯予防のために使用されるわけですが、その一方で歯の着色という副作用のような現象が起こることがあります。それ以外にも特定の漢方薬の服用によって歯に着色が起こることもあります。
意外に見落としやすいことの中に、歯に着色しやすい口の中の環境があげられます。 例をあげると、歯並びの乱れている人。歯並びが乱れている方の場合、どうしても歯磨きが不十分な部分が生じ、汚れの取り残しが出ます。結果として、歯の汚れから起因する着色が出てくることになります。 また、口の中が常に乾燥しやすい人も歯に着色が出やすい人といえるでしょう。鼻で呼吸をしない、できない口呼吸の習慣がある人、唇が閉じにくい状態にある人、あるいは、ドライマウスと呼ばれる口腔乾燥症の人などがこれに当たります。口の中が絶えず乾燥していると、歯についた汚れが唾液によって流れず、歯に留まってしまい、汚れ付着し、着色する原因となりえます。 直ぐに吐き気を催すような嘔吐反射の強い人も、口の中に汚れが溜まりやすかったり、微量の胃酸などの影響により歯に着色が生じやすいのです。
歯に治療痕がある場合、使用している材料によって着色しやすいものがあります。その材料とはレジンと呼ばれるプラスチック材料です。 レジンは保険診療で用いられる非常にポピュラーで使用頻度の高い材料ではあるのですが、その反面、長期に使用しているとレジンの表面が荒れ、着色しやすくなります。保険治療における前歯や入れ歯の人工歯などがそうです。最近よく行われているハイブリッドセラミック冠があります。これはハイブリッドと称しているとおり、レジンとセラミックのハイブリッドな成分からなる冠であるわけですが、中にレジン系材料が含まれるため着色しやすい。それに対し、セラミックの前装がある被せ歯やセラミック冠の場合は、着色しにくいです。 それでは、これら様々な要因によって生じる歯の着色ですが、どうすれば歯の着色を取り除くことが出来るでしょうか。 明日へ続く。
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