2006年12月04日(月) |
歯の変色、着色について その1 |
歯科医院には様々な患者さんが来院しますが、最近の傾向としては“白い歯にしたい”“歯の汚れを取りたい”と希望される患者さんが多くなってきたように思います。見た目、審美に関心をもった患者さんが増えてきたということがいえるでしょう。歯の審美に関心を持つ人が増えてきたということは、それだけ歯の健康に関心を持っている人が増えていることでもありますから、我々歯科業界人にとっては非常に好ましい傾向だと言えます。
今回はそんな歯の変色、着色について取り上げたいと思いますが、一言に歯の変色、着色といっても原因によっていくつかの種類があります。
一つはむし歯によるものです。 むし歯は歯の表面から徐々に内部に進行します。歯の色は歯の内部の色に影響されます。といいますのも、歯冠の表面を覆っているエナメル質は半透明色だからです。より内部の象牙質の色に影響を受けるのです。もし、むし歯が内部に進行し、象牙質が侵食されると象牙質の色は茶褐色になることが多いもの。また、エナメル質も白く濁った色になることがあります。
二つ目は、神経を取った影響によるものです。 むし歯が深く進行した場合、むし歯で侵された歯質を取り除くと、神経(専門的には歯髄といいます)が露出する場合があります。このような場合、むし歯の原因であるむし歯菌が神経にまで達していることがほとんどです。神経に炎症が起き、そのため痛みを伴うことが多いのです。冷たい水や熱い食べ物でしみたり、夜間突然歯痛が生じるような場合、むし歯が神経にまで達し、神経が炎症を起していることがほとんどです。一度炎症を起した神経は炎症が治りません。歯科医院では歯の痛みと神経に侵入したむし歯菌を取り除くため、神経を取り除く治療を行います。神経を取り除いた後、通常は神経の代わりになるゴム製の充填材が詰められます。 ところで、神経には多数の血管があり、歯に栄養を送り、歯の新陳代謝に役立っています。歯というと非常に硬い組織だというイメージがあると思いますが、そんな歯でも常に血液循環が歯に行き渡ることにより新陳代謝が行われるのです。 むし歯の治療によりその神経が取り除かれると、当然のことながら歯に栄養を送られなくなり、歯の新陳代謝、活性が落ちます。そうするとどうなるか?極端な例えかもしれませんが、歯は枯葉のような状態になると言ってもいいでしょう。歯の白い色も歯に血液循環が行き渡ることにより持続しています。神経が取り除かれた歯は次第に歯の白さも失うことになり、徐々に黄色っぽくなってくるのです。
三つ目は、全身に影響する因子によるものがあります。例えば、歯が形成される際にテトラサイクリンと呼ばれる抗生物質を服用すると、歯肉から出てきた歯の色が暗い灰色になることがあるのです。また、同じように歯の形成時期にフッ素を多量に含んだ水を服用したような場合、歯の色は白濁したり、茶褐色になるような場合があります。これは歯牙フッ素症と呼ばれるものです。
四つ目がステインと呼ばれる色素によるものです。これはタバコによるヤニやお茶の茶渋などの色が歯の表面に点状に付着したり、歯の裏側前面に付着したようなものです。
更に解説は続くのですが、今回はかなり長くなりますので続きは明日へ。
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