今月始めからうちの歯科医院に新しく導入した診療台ですが、ようやく僕も、そして、スタッフも使い方に慣れてきました。基本的にはこれまでの診療台と変わりはなかったのですが、いくつかの新しい機能を使いこなすのにそれなりの時間を要しました。ただ、これまでいつ故障し、患者さんに迷惑をかけるかもしれないという不安は全く無くなりました。ここ数年、診療中に診療台が不調になる度にストレスを感じていただけに、当分は治療に専念できる安心感が得られたのは実に大きなことだと感じています。
さて、新しい診療台ですが、時折治療を受けにきた患者さんからも尋ねられます。
「新しい診療台になったのですね。」 「ちょっと今までと感じが違いますね。」 「今までのものよりも格好良くなりましたね。」 「ハイテクの塊のようですな。」
先日、来院した患者さんの一人Hさんからも言われました。
「先生、この診療台結構高かったのではないですか?」 「そうですよ。優に高級車並みの値段はしています。うちのような弱小、零細歯科医院では自己資金のやりくりが苦しいので、某金融機関でそれなりの借入をして買いましたよ。某金融機関で借入できるか不安だったのですが、何とかできてほっとしています。」 「それは意外でしたねえ。歯医者さんって結構儲かっているものとばかり思っていましたよ。」 「かつて歯医者も儲かっていた時代があったことは僕も否定しません。今もそのような時代であれば有難いのですけど、今や街角で溢れているコンビニをはるかに凌駕する数の歯科医院が全国にあるんですよ。ほとんどの歯科医院は保険診療をしていますが、その保険診療報酬がこの4月の診療報酬改定でかなり減らされたのですよ。そのため、ほとんどの歯科医院では減収なのですね。一見、歯医者って派手に生活しているように見えるのですけど、内実は借金を背負っている歯医者がほとんどなのです。自分の歯科医院の建物、設備などの借金を返すのに苦労している歯医者が多いのですよ。僕もそんな歯医者の一人なのですがね、ハッハッハ・・・・」 と力なく笑う、歯医者そうさん。
「歯医者さんって僕が思っていたよりも大変なのですねえ。先生、実は、僕も最近結構高いものを買いましたよ。人生最大の買い物といってもいいくらいです。どうしようかと迷っていたのですが、時期的にいましかないと思い、買ったのですよ。僕も先生と同じ借金持ちですよ。」 「結構高いものといえば、住宅関係ですか?」 「ご想像にお任せしますよ。いずれにせよ先生も僕もお互い借金を持っているもの同士。これから精出して働かないといけませんな。」
Hさんの問いかけに妙に力強く頷いてしまった、歯医者そうさんでした。
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