歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年11月20日(月) 矯正治療中女子マラソンランナーの勝利

昨日、雨降りしきる中、東京女子マラソンが行われました。今回の東京女子マラソンは、当初からQちゃんこと高橋尚子選手と土佐礼子選手の一騎打ちという話でしたが、結果は土佐選手が途中から抜け出し見事に1位を獲得しました。その一方で高橋尚子選手は怪我によるアクシデントで途中で失速し、3位に沈んでしまうという結果に終わりました。

今回の東京女子マラソンで僕が注目したのは土佐礼子選手の口元です。既に気付かれた方も多いとは思いますが、土佐礼子選手は歯の矯正治療中で、矯正装置を歯の前面に装着してマラソンをしていたのです。僕が記憶する限り、スポーツ競技選手の中で矯正装置を装着し、結果を出している選手というのは今までになかったのではないかと思うのです。

外国人であれば矯正治療をしながら競技を続け、結果を出している選手はいます。例えば、この夏ハワイで行われたゴルフの試合、アメリカ女子アマチュア・チャンピオンシップで史上最年少チャンピオンになったキンバリー・キム選手の口元を見てください。トロフィーを掲げにっこりと微笑む彼女の口元には歯の矯正装置が見えています。彼女はまだ15歳です。アメリカでは歯の矯正治療が日本以上に盛んに行われているわけですが、歯並びも見た目を重視する要素の一つとして捉えられています。そのため、歯の矯正装置を装着した口元を人前で見せることは決して恥ずかしいことではないのです。
写真はないのですが、オリンピックの陸上競技で金メダル9個を獲得したカール・ルイスも歯の矯正治療をしていたことで有名です。

以前であれば歯の矯正治療というと歯が生え変わる小学生時代から中学、高校にかけて行われることが一般的でしたが、最近の矯正治療の進歩で歯の矯正治療に年齢は関係なく行われるようになってきました。土佐礼子選手が30歳という年齢で歯の矯正治療を受けるということは決して遅すぎることはないと思います。むしろ、歯の矯正治療を受けることにより歯並び、かみ合わせが変化し、彼女のアスリートしての能力を向上させる可能性さえあるのです。

かつて、僕は土佐礼子選手も出場したアテネオリンピック女子マラソンの日本人選手の中で、野口みずき選手が一番良い成績を取ることを書き、それが見事に当たったことがあります。まさか、金メダルを獲得することは予想できませんでしたが、その理由として出場する女子マラソン選手の中で野口みずき選手が最も歯並びが良いからということを挙げていました。正直言って、この予想は歯医者としての独断と偏見に満ちたもので、たまたま当たっただけのことなのですが、土佐礼子選手はアテネオリンピック女子マラソン選手の中で最も歯並びが悪かったのです。そんな土佐礼子選手が忙しい競技生活の合間をぬって歯の矯正治療を受け、今回、歯の矯正治療途中でありながらも見事に東京女子マラソンを制した事実。見事に結果を出した土佐礼子選手が相当の練習、準備を重ねて望んだ結果であることは言うまでもないことですが、歯並びの治療を受けたことも優勝という栄冠を勝ち得た一因だったのではないかと信じたい、歯医者そうさんです。


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