親指命
インターネットが普及した今日、様々な文書のやり取りがメールを通じて行えるようになりました。以前であれば、手書きの文書を手紙で郵送したり、直接相手方へ持って行ったものです。今では、ワープロソフトやデジカメ写真を添付ファイルとしてメールで送ることができるのです。いやいや便利な世の中になったもので、僕にとってパソコンは必要不可欠な道具の一つで、毎日様々な用途に使用しております。
ところが、同じように必要不可欠な機器となった携帯電話に関して、僕は携帯電話でのメールのやりとりは苦手なままです。特に親指で入力していくスタイルにはどうもついていけないのです。単に携帯電話のキー配列と親指入力に慣れていないだけの問題かもしれませんが、パソコンであれば10本の指を全て使ってキーボード操作ができるのに、携帯電話では画面も狭いですし、キーそのものが小さく、入力がパソコンよりもままならない状態はストレスが溜まる一方です。電車やバスの中で若い人が携帯メールをしていますが、携帯メールを打つスピードにはいつも驚かされます。どうしたらそんなに早く携帯メールを打てるのだろう?いつも不思議に感じてなりません。
先日のことでした。ある先輩の歯医者のY先生から僕が書いた文書を送るよう依頼がありました。僕はメールを用いて添付ファイルで送ろうとしたのですが、Y先生は添付ファイルで送らないように指示してきました。どうしてなのだろう?不思議に思った僕はY先生に尋ねてみました。Y先生の返事は、
「俺は携帯メールの方が慣れているから。」
僕はY先生の申し出のとおり文書をメールに写し、メール文書としてその先輩に送ったのです。
「そうさんはパソコンの方が使いやすいかもしれないけど、俺はね、携帯メールの方が使いやすいのよ。何せ、原稿の修正などは親指で行う方がいいのではないかと思うんだけど。」
最近の携帯メールは一回に送信できる文字数が拡大したため、少々の長い文書でも分割せずに送ることができるようにはなりました。が、文書の整理を親指で器用に行うことが出来るとは不思議でなりません。それにしても、送ったメールの文字数は相当数だったはず。そんな多くの文字数でも編集が平気だとは驚きです。
元来、Y先生はパソコンを使うことが苦手だったのですが、持ち運びができ、いつでもどこでもメールを送信することができる携帯メールが肌に合っていたようなのです。頻繁に携帯メールを使用しているようで、僕も度々やり取りをしています。中には明らかに診療中と思われる時間帯にメールを送信しているものさえあります。そのことをY先生に突っ込んでみると、
「いやあ、うちの診療所は暇だからな、ハッハッハ・・・。」
笑えそうで笑えない話です。
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