2006年11月01日(水) |
歯科衛生士は見ている! |
意外に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、歯医者はお互いがどんな診療をしているか知らない場合が多いのです。歯医者は全国29校ある大学歯学部、歯科大学の専門カリキュラムを消化し、国家試験に合格した者が歯科医師免許を取得します。大学時代は決まったカリキュラムに基づいて歯科医師になるための教育を受けているわけですから基本は同じはずなのですが、実際に歯科治療を行う臨床現場では微妙に異なることが多いのです。その理由は、大学を卒業してからの研鑽の仕方が影響するからです。 大学を卒業し、歯科医師免許を取った歯医者は免許を取っただけで実際には何もできません。特に、最近卒業した歯医者は大学時代に患者さんを相手にした臨床実習を行っていないのが現状ですから、なおさらです。実際の臨床技術の取得は大学卒業後になっているのが現状なのです。そのため、大学を卒業した歯医者が学ぶ師のやり方によってその歯医者の一生が決まると言っても過言ではありません。 その師ですが、これがまた様々で、それぞれの流儀、流派に属しており、それなりの知識、技術体系を持ちながら、患者さんの治療に対し実績をあげています。僕自身少なからずこれら流儀、流派の情報を知っているつもりですが、全てを完全に知っているわけではありません。それ故、全ての歯医者がどのような知識、技術を持っているか把握していない、把握できないのです。 しかも、歯医者は歯医者同士が同じ職場で仕事をしているケースが限られています。ほとんどが個人で開業しているのです。そのため、自分の診療で手一杯で他の歯医者の診療を見ることができません。
こういった理由から歯医者はお互いがどんな診療をしているのかわからないものなのです。
さて、僕は地元歯科医師会で仕事をしていますが、常に一緒に仕事をしている地元歯科医師会の先生の治療は誰一人としてどんな治療をしているかどうか詳しい情報を持っていません。その訳は先に書いたとおりですが、その一方で地元歯科医師会の歯科医の治療を把握している人たちがいるのです。それは、歯科衛生士です。
地元歯科医師会では、休日、祝日に応急歯科診療所を開設し、診療を行っています。この診療所は地元歯科医師会の先生が輪番で当たっているのですが、アシストに当たっているのは地元歯科衛生士会の歯科衛生士の有志です。これら歯科衛生士もお互いが輪番で診療補助に当たっているのですが、地元歯科医師会の先生よりも人数が少ないため、地元歯科衛生士会の歯科衛生士は誰よりも地元歯科医師会の先生の治療を見る機会に恵まれていると言えます。当然のことながら誰がどんな治療をしているか逐一把握し、情報交換しているのです。地元歯科医師会の先生の技術レベルを誰よりも知っているのが歯科衛生士と言えるでしょう。
歯科衛生士は見ているのです、歯医者のことを。
当然のことながら、地元歯科衛生士会の歯科衛生士は僕の治療も見て把握しているはずです。できることなら彼女たちの評価を訊いてみたいものですが、小心者の僕は怖くて聞けません!
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