歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年10月31日(火) あちらのお客様からです その2

今回の僕が話を伺った女性の中で、実際にバーで何度も見ず知らずの男性から酒をプレゼントされたことがあるというこの方からは非常に具体的な話を教えてもらいました。この方の話が全ての女性客に当てはまるとは限りませんが、なかなか男性からお酒をもらい慣れている女性の本音を知ることができないだけに、ご本人のお許しを得てこの方のコメントを紹介したいと思います。

この方は、バーで酒をプレゼントしてくる男性は年代により異なった対応するのだそうです。
相手が自分よりも若い男性の場合には、必ずバーテンダーに酒がバーテンダーから直接渡されたものであるかどうかを確認するそうです。若い男性の場合には、プレゼントする酒の入っているグラスに薬を盛るような奴らが少なからずいるそうで、酒のプレゼントが一種の悪戯目的である可能性があるので危険なのだとか。もし、バーテンダーから直接渡されたものであることが確認された場合には、相手に軽くグラスを掲げて合図をし、帰りにお礼を言うのだそうです。

相手が自分と同年代のような男性の場合、自分が知らない酒である場合があるので、その場合はバーテンダーにレシピを尋ねるのだとか。あまりにも強い酒が入っているような場合には、相手に対しやんわりと断りを入れるのだそうです。酒が飲めるような場合には、相手に対し「ありがとう」と言い、帰りにもお礼を言うのだとか。

一番好感が持てるのは、自分が飲んでいるカクテルと同じもの、あるいは着ている服と同じ色のカクテルを持ってきてくれる場合だそうで、相手が自分より一回り以上年配の男性が多いのだとか。
こういった男性は遊び慣れた中年老年紳士がほとんどだそうで、あまり心配をせず、近くの席に移っていろいろと話をすることもあるのだとか。相手もその場の話相手として紳士的に対応してくれるのだそうで、帰り際には自分の会計も全て支払ってくれるそうです。

この方の経験では、このようなことをきっかけに交際が始まるということはほとんどなかったそうで、あくまでもその場を楽しむための演出に過ぎないという考えだそうです。
“何せ薄暗い照明のバーではお互いが素敵に見える”という言葉で閉められていたコメントは非常に意味がある言葉だと思いました。


彼女のコメントは、僕が予想していたとおり、全く見ず知らずの女性にお酒をプレゼントする行為は、奥が深い芸当であることを意味するものでした。女性とバーの雰囲気に調和した気配りと雰囲気作りに徹することができる、そんな余裕がある男しか相手にしてもらえないのです。一種の男と女の大人のゲームと言えるのです。若い輩が街中でナンパと称して気軽に声をかける行為とはレベルが違うのです。そのことをわかっていない男性は、例えバーでお酒をプレゼントしても相手にしてもらえないのです。
そのことをわかっていなかった僕の後輩は、美女にお酒をプレゼントはしてみたものの、御礼の言葉はあれど、その後の展開は全く何もなかったと肩を落としておりました。人生経験を積んでいない僕の後輩はこの手のテクニックを使うには早すぎたということが言えるでしょう。


さて、

「そうさんはバーで女性に酒をプレゼントしたことはあるのか?」

と問われると、その答えは「ノー」です。なぜなら、元来僕自身が奥手であるということもありますが、女性に何かしらの物をプレゼントするのは、やはり女性と話をし、ある程度の情報を得てからでないとできない性質だからです。
その一方、僕はむしろ逆の状況を経験したことがあります。すなわち、バーで全く見ず知らずの女性から酒をプレゼントされたことがあるのです。


あれは今から10年以上前のことでした。友人の結婚披露宴に参加した後、一緒に参加していた同級生と3人でとあるバーに飲みに行ったのです。野郎3人でバーで酒を飲んでいると突然、バーテンダーがグラスに入ったシャンパンを持ってきたのです。僕らが頼んでいたのはいずれもウィスキーだったものですからこれは何かの間違いではないかと思い、バーテンダーに尋ねたところ、

「これはあちらのお客様からです。」

振り返ると同じカウンターの隅の方に一人の女性が座っていました。年端は50歳ぐらいの女性だったでしょうか。小柄ながらもおしゃれな着こなしをしていた女性客はどこかの会社のオーナーといった感じでした。僕らがきょとんとしていた光景を見たのでしょうか、その女性客は軽くウィンクをしながら、関西弁のしゃがれ声で

「兄ちゃん、びっくりしたかもしれんけど、ワシからのプレゼントや。遠慮無しに飲んでや。何も変なものとちゃうからな。」

僕たちは戸惑いながらもプレゼントされたシャンパンを頂きました。その後、その女性客との会話はありませんでした。どうもその女性客はバーの常連のようで、バーテンダーをずっと話をしていたからです。
30分ほど時間が経過した頃、その女性客はおもむろに立ち上がり、店を出て行こうとしました。僕らはその女性客のところへ行き、お礼を言ったのですが

「兄ちゃんら、あの酒はあくまでもワシからのプレゼントからな。ワシがあんたらを気に入ったからプレゼントしたんやで。せやから、くれぐれもあの酒代を自分で払うなんて思ったらあかんでえ。こう見えてもなあ、ワシはあんたらよりは金ぎょうさん(ぎょうさんとは関西弁で“多く、たくさん”の意味)もっているんやからな。こういう時は遠慮無しにもらうもんや。」と店を出て行きました。

女性客の勢いに圧倒され、皆酔いが覚めてしまったそうさん一行。落ち着いて酒を飲むという雰囲気がどこかへ吹き飛んでしまった感じでした。

後にも先にもバーで女性から酒をプレゼントされたのはこれだけです。世の中、男に酒をプレゼントできる女性がいるとは全く知らなかっただけに、今では良い人生勉強をさせてもらったと、その女性客に感謝しています。

それにしても、女性が男性に酒をプレゼントするような場合って、こんなに色気もへったくれもないものなのでしょうか?そうではないことを信じたい・・・。


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