2006年10月19日(木) |
産科大学 小児科大学 |
奈良県で行ったこの事件、いろいろと考えさせられる問題です。 このような事件が起こった背景は、ここに詳しく載っていますが、この問題の本質に迫ってみると、特定の科の専門医の数が不足しているという事実が浮かび上がってきます。医師の数は現在全国各地に26万人以上いるはずで、決して少なくはずなのですが、労働条件の過酷さなどから、特定の科の専門医のなり手が限られているのが現状です。 それでは、どうすれば、特定の科の専門医を充実させることができるでしょう?いろいろと意見はあると思いますが、歯医者である僕が愚考するに、歯科を参考にしてはどうかと思うのです。
本来、医科の一分野であった歯科は、他の医科とは異なり独自に発展してきました。法律も歯科医師法という法律が存在するくらいです。歯科医を専門に養成する歯科大学、歯学部を全国に作ることにより、かつて足りないと言われていた歯科医師は一気にその数が増え、今や過剰となり歯科医師の淘汰が始まっているぐらいです。これはこれでもんだいではあるのですが・・・・。
それはともかく、全国の大学医学部や医科大学では医師を養成していますが、医学も専門分化が進み定着している事実を考えると、産科大学、小児科大学といったような医学の中の特定の分野の専門医を養成するような大学制度、資格制度を考えてもいいのではないかと思うのです。現在の医師法では、一端医師免許を取得すればどんな科を選択しようが自由なのですが、実態は、医師は最終的に内科医、外科医といったように専門が決まってしまいます。内科医が皮膚疾患を治療するようなことはないのが実情です。それであれば、大学入学時点から医学専門分野を特化した教育カリキュラムを組み、その専門分野だけのエキスパートを養成すれば、特定科の医師不足問題は解消されるとはいかないまでも改善に向かうのではないかと思うのです。
特化した専門医教育を受けた者には専門医免許が交付され、専門家として臨床の場に立つ。このような考えは簡単に実現するものではないでしょう。医師法の改正が必須です。場合によっては新たな法律が必要になってくるかもしれません。 また、現在の卒後臨床研修は特定科に偏らない幅広い医学知識、技術の習得を目的としていますから、専門科に特化した大学というのはこういった流れにも反するかもしれません。既存の大学医学部、医科大学との兼ね合いの問題も生じてくることでしょう。また、何よりも資金の問題が生じてくることでしょう。しかしながら、医師が特定の専門科に集中する傾向が続くならば、いっそうのこと歯科のように、医科においても専門科に特化した大学を作り、確実にその科の専門医を確保できる方法を考えることは無駄ではないと思うのです。 如何なものでしょう?
単なる歯科医師のたわごとですが。
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