歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年10月11日(水) 虫好き歯医者

先週、地元の歯科医師会で某大学の皮膚科の先生の講演会がありました。僕はその講演会を聴講したのですが、僕が座っていた隣の席にはY先生が座っていました。
Y先生は開口一番

「今日の講演をされる皮膚科の先生は歯科関係のアレルギーの講演をされるみたいですが、実はね、昆虫の皮膚疾患の治療でも有名な先生でもあるのですよ。」

僕は面食らいました。Y先生がどうして昆虫の皮膚疾患の専門家のことを知っていたのかわからなかったからです。そんな戸惑っていた僕を後ろの席に座っていたK先生が見ていたようで、僕に助け舟を出してくれました。

「そうさん、Y先生がいきなり昆虫の皮膚疾患のことを言い出して戸惑っただろう。Y先生の趣味を知らなければそうだろうね。実は、Y先生は無類の虫好きなんだよ。」

何でもY先生は幼少の頃から虫が大好きだったとのこと。一昔前、Y先生の家の近くはのどかな田園風景が広がっていたとのこと。学校が終わり、家に帰るや否や虫取りケースを持って一目散に虫取りに出かけにいっていたそうです。その習慣が大人になってからも続いていたそうで、近隣の田園地帯、山間部のみならず、北は北海道から南は沖縄の離島まで足をのばし、虫集めに奔走しているのだとか。虫好きが高じて、Y先生は他の虫好きの同行の士で同人誌まで作ってしまったそうです。その同人誌に度々投稿していた虫好き仲間の一人が今回講演をした皮膚科の専門医だったのです。


「最近、僕も年を取ったせいか以前ほどパワーが無くなりましてね、しょっちゅう虫を取りに行くことはなくなりましたが、歯科の仕事をしていてストレスが溜まった時、虫取りをするとストレスなんてすっかり忘れてしまいますよ。」

「もしかしたら、先生の診療室には虫の標本が置いてあるんじゃないですか?」

「ええ。いくつかの昆虫の標本を飾っていますよ。今年の夏は久しぶりにカブトムシの標本を出しましたけどね。」

「カブトムシですか?小さなお子さんの患者さんは喜ぶんじゃないですか?歯の治療というよりもカブトムシ目当てで来院する子供の患者さんがいたりしませんか?」

「以前はそんな患者もいましたよ。いつまでもカブトムシやクワガタなどの標本を見続けて、なかなか治療に進めないなんて子供もいましたよ。今では、子供の患者そのものが少なくなりましたから、せっかくのカブトムシの標本も患者集めにはつながりませんけどね、ハッハッハ・・・・。」

虫の話をするY先生の姿は、普段のY先生からは想像できないくらい生き生きとした表情をされていたのが印象的でした。虫好きの少年がそのまま大きくなったようなY先生の姿は、実に微笑ましいものがありました。


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